55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

雨の後の海は、なんでこんなに綺麗なんだろう

f:id:lifeischallenge:20170721172612j:image

朝からシェアメイトのアレクシ(アレクシスではなく、アレクシらしい)は元気がない。
こないだはチョコがけのシリアルにミルクをたっぷりかけて、さらに食パンを2枚、チョコペーストを塗って食べていたのに(フランスの若者たちは多くが毎朝チョコペーストを食べるらしい)、お茶を前にため息をついている。
私たちの風邪が移ったんじゃなければいいなと思いながら尋ねると、暑かったり寒かったりでよく眠れなかったとのこと。結局、お茶とスナックで済ませていた。

 f:id:lifeischallenge:20170721172840j:image

なんとなく家を出るのも一緒になって学校まで一緒に行くと、クラスメートのニッコロにも「ちょっと疲れた」と言っている。ニッコロも「僕も」と。
知らない土地での一人暮らし、料理もできないと言っていたから、疲れもするだろう、と思う。親子で来ている私たちは、「拠りどころ」があるという意味では、ずっと疲れが少ないと思う。
それに食べたいものを自分でつくることもできるし。

 f:id:lifeischallenge:20170721172854j:image

Hometown。
HEATWAVEというバンドの山口洋さんが「最近、Hometownがテーマなんだ」と話していて、その言葉が引っかかっている。
私は山口県で生まれたけれど、Hometown って、大事な人がいる場所のことなんだろうなと思ったりする。その人がたとえいなくなったとしても、心に居てくれさえすれば、自分自身がHometownになれるのかもしれない。
そしたら、Homesick にかからずにどこでも生きていけるのかな……なんて思いをめぐらしていたら、娘がこないだ言っていたことを思い出した。
「かあ(私の呼称)のホームタウンは私(実際には自分の名前)でしょ」
うーん。どちらかと言えば逆にような気がするが、まあ、いいか。
そして、娘のホームタウンは私ではなく、“とう”なのだった(はっきり言いはしないが)。

f:id:lifeischallenge:20170721172936j:image 

親子で留学すると言ったら、友人たちに凄く羨ましがられた。でも、「よく娘さんがいいって言ったね」とも言われた。
私が娘の留学についていくようなイメージなのかもしれないけれど、今回は私の発案。去年の夏にふっと思いついたことに、娘が乗っかった、というのが正しい。

 

クラスでは、初めてマリアと話す。大人びて見えるけどまだ16歳のフランス人。休憩時間に買ってきていたカフェラテを「いい匂い」と言ったら、1個くれた。びっくりして、「何で?」と尋ねると、定員さんが間違って2つくれたのだとか。なんてラッキー。
「一人で留学しているの?」と聞かれ、「娘と一緒だよ」と答えると、凄く羨ましがっていた。「私もママと来たい」と。ホントかな。
今日初めて一緒にグループ・ワークをしたニッコロもマリアも日本のことを尋ねてくれて、とくにニッコロは去年日本に行くことを計画していたみたいで、「センパイって先生のこと?」「“ちゃん”ってナニ?」とか聞いてくれて嬉しかった。

 f:id:lifeischallenge:20170721173053j:image

午前中で授業が終わり、何処かへ出かけるより家でゆっくり勉強でもしたい、と珍しく娘が言うので、ランチだけしに海沿いにある「Fish Shack」というお店に行ってみる。
松井さん(料理研究家)オススメ、フィッシュ&チップスが美味しい人気店らしい。
行くとちょうど入れて、テラス席でエビフライ(パン粉がついているのは珍しい!)とフィッシュ&チップスを注文。どちらも素材が新鮮でタルタルソースが付いていて美味しかった。
隣のテーブルに座った女性が「どこから?」と話しかけてくれて「日本です」と答えると、昔、城崎に行ったことがあるとのこと。屋久島にも行ったそうで、日本は大好きだと言っていた。ずっと前のことらしいが。

f:id:lifeischallenge:20170721173127j:image
その後、また近くのテーブルに座った女性も、日本に行ったことがある、大好き、と。アメリカ大使館のそばに住んでいて、鳥と木が花よりも好きなのだとか。
二人とも「アイルランドを楽しんでね」と温かい笑顔。こういうところにぐっとくる。

 

テラスでは突然の雨に降られ、「これがアイルランド」と教えてくれる女性と一緒に傘を差しながらやり過ごす。30分もすると雨は止み、また太陽が戻ってきた。
「雨はすべてのものを綺麗にする」と先ほどの女性。

雨に洗われた海は、驚くほど深く透明で、清らかな光を反射していた。

 

f:id:lifeischallenge:20170721173807j:image

家に戻って勉強するのかと思いきや、なんのことはない、娘は爆睡。
私もゆっくりして、夜になってごはんをつくる。
そんなにお腹も空いていないので、チキン・ウィング(手羽元と手羽先が両方入ってた)とリーキ(長ねぎ代わり)をシンプルに焼いて、娘はそのまま、私は焼いたものをスープにして(鴨なんばん風に)。

つくっている最中、珍しく家にいるアレクシの部屋をノックして声をかけたら、「大丈夫、でも夕飯はいらない」との返事。でも、焼いただけのと、スープにしたものを両方(娘は、随分おせっかいだね、と言ったけれど)持っていってみたら、受け取ってくれた。よかった。

 f:id:lifeischallenge:20170721173346j:image

遅い夕飯を食べていたら、リンキン・パークのヴォーカリストが亡くなったとのニュースが。ショック。

大きなステージの真ん中に立って、どんなにたくさんのファンに囲まれていても、Hometown は遠かったのかな。

本当のところは誰にもわからないけれど。黙祷。