アイリッシュ・ダンシングの熱い夜
慣れてきたのか、だれてきたのか、90分の授業が短く感じられるようになってきたこの頃。
イタリアンが集結していた前のクラスとは違い、いまのクラスはフランス、ブラジル、スペイン、コロンビア、イタリアからの留学生で、アクセントもそれぞれに違って面白い。
正直、聞き取りにくいこともあるけれど、お互いの国の食事や風習の違いにも触れられる。
昨日はジェラルディン(先生)も休みだったそうで、急に歯医者に行くことになったそう。何かを食べたとき、歯がブレイク(!)したそうで、歯医者で€500(約6万5000円)とられたと悔しがっていた。
歯医者をはじめ、医療費は高いらしい。ついでに家賃もめちゃくちゃ高く、独立するのは大変だそうだ(平均€1500もするのだそうだ!)。
ジェラルディンの授業は未来形について。
“will”と“be going to”と“be 〜ing”の違いを学ぶ。
こういうの、高校か大学で習ったのかな。あまり記憶にはないけれど、けっこう違いがあって興味深い。
“will”はいま思いついたことを言う時に使う。偶発的な未来形だから意思を伴う。
相手と約束する時や、いま思いついたプランを話す時、そして感情的な(根拠のない)予想をする時。
「電話に出るわ」というのは間違いなくこれ。
“be going to”は、予め考えていたことや、根拠のある予想をする時に使う。
だから今晩の食事や映画の誘いを断る時などは、こっちを使うほうがいい。
天気予報で言ってたから雨が降るよ、と伝える時もこれ。
“be 〜ing”は、オーガナイズされて、他者とコミュニケーションも取って決まっている計画について話す時に使う。
チケットも持っているコンサートに行く時や結婚式などはこれ。
誘いを断る時はwillを使わないほうがいい、というのは何かの本で読んだけれど、こんなに違いがあるのか。でも、ただでさえ言葉が出てこないのに、あんまり考えるとよけいに出なくなるなー。
ジュリアナ(先生)の授業では、身体の部分が含まれるイディオムを習う。
“head over heels”は「首ったけ」という意味で、なんとなくわかるが、“have cold feet” は「一度は決めたことに迷いが生じる、ためらう」ことらしい。足がすくむ、という感じに近いのかな。“Break a leg!”は“Good luck!”の意味で、“pull one’s leg”は“make a joke to someone”。こうなるとなんだかわからない。
ちなみに“feel butterflies in one’s stomach”は、試験や恋愛や大事な局面を前にドキドキすることだそうだ。
授業の後は、スープとチップスを少し食べて、学校主催の遠足で「アイリッシュ・ダンシング」。
『リヴァーダンス』みたいなアイリッシュ・ダンスのショウが€7(900円くらい)で観られるならいいじゃん、とノリの悪い娘を誘い、クリフウォークでも一緒だったイタリアン・ガールズやローラ(日本語を勉強中のフランチ・ガール)、トニー(ローラの友達)も一緒に、女子ばかり12人でシティセンターのグランド・ソーシャル・クラブへ。
パブがいくつか合体したような大きな店にはいろいろなスペースがあって、サリー(引率)について行くとローカルな社交場のようなフロアに出た。
早速ビールを注文。オハラズというアイリッシュ・ペールエール、とても美味しい。
そのうち、集まった客はフロアの中央に呼び込まれ、アイリッシュ・ダンスの講習が始まった。ショウじゃなく、自分たちが踊るほうのダンスだった!
娘はぐぐっと後ずさり、せっかくだからと私は参加。一緒に来た女子学生とペアになってフォークダンスの激しいバージョンみたいなステップを踏んでいたら、楽しくなってきた。
ダンスって、互いの距離を近くする。
そして、頭のごちゃごちゃを遠心力で吹っ飛ばしてくれる。
ビールとダンスで頭はグルグル、すっかり疲れて帰りのバスに乗ったら、ローラとトニーが「お腹空いた〜」。
娘の持っていたチョコをみんなで分けて、食べものの話をしながら家へ。
「帰ったら何を食べるの?」
「ラーメンかな。ローラは?」
「パスタかな」
どこでも、いつでも、女の子はお腹が空く生きものなのだ。