55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

「みんなが幸せなら、僕も幸せ」

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朝から授業のはずのアレクシの靴が、まだ玄関にある。
ふーむ。また体調でも悪いのだろうか。
コンピュータ技師を目指すアレクシは、買ってきたものを温めるくらいでほとんど料理をしない。3人暮らしのときは私たちがごはんをつくるときは気軽に誘えたものの、6人になるとなかなか難しい。
でも、栄養バランスなんてものを知らないらしいアレクシは、時々妙に疲れていたり、食欲がなく食べずに済ませたりしているので気になる。

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ちょうど朝ごはんと昼ごはんを兼ねて味噌汁をつくろうとしていたので、ドアをノックして声をかけると、なぜだかわからなけれど起きられなくて遅刻したらしい。
そのうち降りてきて、味噌汁を一緒に食べた。
玉ねぎとじゃがいもと人参に卵をポトンと落として、こっちで売っていた信州の白味噌をといたスープ。出汁は水が違うせいか鰹節と昆布ではうまくひけないのだけれど、粉末の「あごだし」が力を発揮。無添加、鹿児島産の「あご」を砕いただけのもので、持ってこようか迷ったものの一つだったが、ものすごく重宝している。
アレクシはとっても美味しいと綺麗に食べて出かけていった。

 

午後の授業は過去形(past simple)と現在完了形(present perfect)の違いを学ぶ。
学生時代に習ったはずだけれど、実際使うときにはどっちがいいのか迷うのがこの二つ。
「ごはん食べた?」は“Did you〜?”なのか“Have you〜?”なのか。
なるほど!と思ったのは、「いつ」かがハッキリしている時は過去形を使う、という説明。
昔習ったはずだけど、モヤモヤしていた霧が晴れた爽快感。

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授業が終わってテディズ・アイスクリームを食べにピープルズ・パークという公園を抜けると、アブドラが一人で芝生に横になっているのが見えた。
誘いたいけど、アブドラはアイスクリームを食べないので、誘えない。
アイスを買って、戻ってきたら、アブドラも起きたところで、ちょっと話した。
食べてはいけないものが多いサウジアラビアからの留学生、アブドラは、ホストファミリー宅での食事でも苦労しているんだろうと思う。

 

「食べものだと、何があなたを幸せにする?」と尋ねると、とくになさそうな素ぶり。
「じゃあ、何があなたを幸せにするの?」としつこく尋ねると、“People”という返事が。
「みんなが幸せなら、僕も幸せ」なのだと。

 

「じゃ。僕は行かなくちゃ」と去っていく後ろ姿を見送りながら、あと1ヶ月、お酒も飲んではいけないからパブにも行けない彼の幸せに思いを馳せる。

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晩ごはんはお好み焼きと決めていた。ちょっとした娘のひと言で機嫌を損ねた私は、キャベツと豚肉を切って用意をするように、と命令口調で娘に指示出し。マーケットで買ったオーガニックのキャベツは、前にスーパーで買ったのとは違って柔らかく、友人が持ってきてくれた紅生姜のおかげで、本格的なお好み焼きの匂いがしてきた。

料理の時間がバッティングしてキッチンを譲ってくれたレオとクエンティンに「ちょっと味見する?」と声をかけ、あんまりお腹が空いてないというアレクシにも焼けたのを数切れ運ぶと、3人ともキッチンに集結。
3人でも狭いキッチンに最高記録の5人が入ってお好み焼きの試食大会。
「うーん、ヴェリーヴェリーグッド!」とアレクシ。レオとクエンティンも美味しそうに食べて、あっという間にお皿は空に。

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アレクシはその後パブに出かけていき、レオとクエンティンにキッチンを譲ったら、ハンバーグみたいなものを焼き、鍋にお湯を沸かしてタイ米をボイルし始めた。
アレクシとは違って料理をするレオとクエンティン。
家で全然食事をしている姿を見たことがないマリエレナ(イタリアからの留学生)も一緒に、いつか6人でごはんを食べられたらいいなー。
そこにアブドラもいられるといいのに。