55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

「アリヨン ホワヨーン ジャミール(今日は美しい日)」〜アブドラとアザラシとジョイス・タワー

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いまのクラスは総勢13人。今日は欠席一人で12人。大所帯。
コロンビア2人、ブラジル2人、イタリア2人、フランス3人、ベネズエラ1人、スイス1人、スペイン1人、日本1人。
年齢もそんなにティーンに偏ってないし、長く一緒の生徒もいて、疎外感がない。

午前の授業が終わって、ミレナ(イタリアン)に、「MUSASHIっていう日本料理店があるらしいんだけど、行かない?」と誘われたが、いまのお腹の調子では無理。
「来週だったら是非行きたいんだけど」と答えると、今週でイタリアに帰ってしまうから無理、と。ああ、残念。
午後は学校の遠足でジェイムズ・ジョイス・タワー・ツアーが企画されていたようで、アナンダに「行かないの?」と言われたが、近いとはいえ途中でお腹がゴロゴロしたらマズイし、午後はStudy Clubという補習みたいな個別レッスンを受けようと思っていたので、それも断る。

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今日から授業に出始めた娘は、Study Clubには消極的なものの、とにかくお昼が食べたいと騒ぐので、McLoughlin’s Barへ。あの店のスープなら食べられるだろう。

昼も夜もやっていて、あったかい飲み物も、ちゃんとした食べ物もある地元のパブに来るのは4回目。サンドイッチとスープのセットで€7.5と安いし、美味しいし、学校から近いし、本当に助かる。
今日はいつもの笑顔が素敵なオジさん(あえてそう呼びたい)じゃなくて女の人がカウンターに。いつもと同じようにセットで注文してサンドイッチは娘が、スープは私が食べるつもりが、単品として別々に来てしまった。
スープはパン付き。「パンはいらないの、ごめんね」と言うと、「大丈夫、問題ない」といつものオジさん。

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サンドイッチもチキンと野菜がどっさり入って美味しいが、今日の私には食べられない。
単品なのでリーフサラダも添えてある。モリモリ完食する娘。さすがだ。
ホッとする野菜のスープの名前を聞くと「フェッチ・スープ」と返ってきた。
パンには手をつけないでいたら、娘がしきりに美味しいよ、と言うので、そのまま捨てられるのももったいないし、ひと切れ食べて、あとは持ち帰りにすることに。
それなのに、お会計の時にはセットの値段に書き直されていたので、別々の値段に戻してね、と伝えると、「大丈夫、私のミスだから」と先ほどの女性。オジさんもウィンク。
カフェラテも頼んで全部で€10。申し訳ない。また来よう。

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1時45分〜のStudy Clubに間に合うように学校に戻ってみたら、今日は開かれないとのこと。前日までに申し込む人が誰もいなくて先生が手配されてなかった模様。ガッカリ。
すかさずサリー(イベントや生徒のオリエンを担当するスタッフ)が「あなたたち、ジェイムズ・ジョイス・タワーに行かない?」。
いったん断ったツアーだけど、ここは行くしかない。道中を不安がる娘(サンドイッチ完食しているし)を説得して参加することに。
こちらのツアーも参加者が少なかったようで、待っているとアナンダがやってきて、サリーと4人で出発。
ボーイッシュで犬が大好きなサリーに、「ジェイムズ・ジョイス、読んだことある?」と聞くと、「ない! 難しいし。私が好きなのは、Seamus Heaney!」と教えてくれた。
妹(姉?)の自動車事故死に遭遇、深く美しい詩を書く人なのだそうだ(調べてみると、1995年にノーベル文学賞も受賞している有名な詩人だった!)。

ピープルズ・パークで、このツアーに申し込んだ唯一の生徒、カルロスが合流。アナンダも今日の授業終わりに彼に誘われたのだ。
写真家を目指しているカルロスと5人で海沿いの道を歩いていると、ベンチに大きな後ろ姿を発見。おっ、あれはアブドラのはず。
「ジョイス・タワーに行こうよ!」と声をかけると、アブドラはすぐに立ち上がって「いいよ」。
「ナイス・キャッチ!」とサリーに褒められ、総勢6人でビーチの端っこにあるジョイス・タワーを目指す。
もうじきサウジアラビアに帰ってしまうアブドラともっと話したかったので、ラッキー。

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海を見ながら歩いていると、何か黒い影が。全員で目を凝らす。アザラシだ。
二頭、時々寄り添うように顔を上げている。しばらくアザラシを見つめる6人。
いつになく風はなく海は穏やかで、タワー近くの小さな入江では海水浴客がたくさんいた。

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タワーは無料で、1962年の開館からいままでボランティア・グループによって運営されている。
前に走って来たことはあるけれど、中に入るのは初めて。入り口で重い荷物は置いて塔に登る。
ワクワクするスパイラルの石段も、ブラーニー城に登った後なので、あ、もう終わっちゃった、と若干物足りない。

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でも、屋上から見える景色は360度のパノラマで、風も全てが心地よかった。
ナポレオンの侵攻に備えてあちこちに建てられたマーテロー塔の一つで、ここは1804年に建てられ、当時はハシゴで12フィート登って重い金属のドアを開けて入らなければならなかったそう。
壁は8フィートの厚さで、大砲がスパイラルのてっぺんのオーブンで温められたそうだ。

結局、この塔の大砲は使われずに済み、1904年にはお金を払えば住めるようになって、ジョイスの友人ゴガティが初めての間借り人になり、ジョイスはそこへ招待された。

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ジョイスは宿泊した6日目の夜に、ゴガティの友人トレンチが黒豹の悪夢を見て発砲したことがきっかけで出ていくのだけど、ここに来るまで、身の危険を感じて出て行ったのかな、と思っていた。

でも、ガイドさんの話や置いてあるリーフレットを見ると、
Joyce took the hint and left the tower immediately, never to return ”
とあって、全然違っていたことに気づく。
そのシーンから『ユリシーズ』が始まるところからも、トレンチの悪夢に出てきた黒豹は偉大な小説を生み出すきっかけをつくったシンボルになっているらしい。

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近いし、無料だし、いつでも来られると思っていたけれど、一人で来ていたらまた印象が変わっていたかも。クラスメイトやサリーと一緒に来られてよかった。Study Clubが中止になってよかった。

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サリーと別れて帰り道、アナンダがソフトクリームを買ったこともあって、ベンチで5人でまったり。
あ、そうだ、とノートを取り出し、アブドラにアラビア語を教えてもらう。
Hello はアルハバン。
Thank you はシュークラム。
右から左へ書くアラビア語は、不思議でとても美しい。
最後に、「今日は美しい日」と書いてもらった。
アリヨン ホワヨーン ジャミール

しまった、I love you を忘れた。
帰るまでに、聞いておかなくちゃ。

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