55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

フライデーには豆ごはん

f:id:lifeischallenge:20170827185432j:image

8週目最後の金曜日。
サヨナラする生徒が今日は4人。ヴィクトリア(ベネズエラ)、ミレナ(イタリア)、カルロス(スペイン)、チボー(フランス)。
月の最終金曜日はテスト(先生たちが生徒の理解度を確認するための)がある日で、私にとっては2回目。前のクラスでは3割から4割しかできなかったけれど、今回は9割以上クリア。
自分で採点して「何点だった?」と見せ合うボーイズ。隣のラファエルに聞かれたら、伝言ゲームのように伝わって、アレッサンドロ(ジョンを困らす悪ガキイタリアン)が目を丸くして「マジで?」。
そうだよ。なんてったって、私はここに8週間もいるんだよ。
だからと言って会話がスムーズになったわけじゃない。ペーパーオンリー。でも、クラスメイトとして見てくれた感じで、ちょっと嬉しい。

 

休み時間には娘の手も借り、鶴を折ってヴィクトリアとミレナに。アンジェラにも頼まれて折った。アナンダは「知ってる!」というので折り紙を渡したら、途中でわからなくなっていた。
授業が終わってから、すぐに立ち去ろうとするクラスメイトを引き止めて記念撮影。
俺はいいよ、まだ帰らないし……というアレッサンドロも強引に入れて。
以前コーヒーを買いにいった帰りに、「シリアに行きたい」と言っていたミレナに職業を聞いたら、心理学をやっていて、心に傷のある子どもたちのケアをしているそうだ。
「セツコ、キスしていい?」と聞かれ、ハグ&キス。
わずか2週間だったけれど、鮮烈な印象を残してミレナは仕事に戻っていった。

 

体調はなんとか戻りつつあって、今日は久しぶりにごはんがつくれそうだ。
ジャパニーズ・ヘルシー・フード、豆ごはん。それと、キヌサヤの卵とじ。
この二つは、うどんと並んで、ほとんど何も食べたくない時にも食べられる。
Punnet(オーガニックの八百屋さん)でどちらも買ってあったので、いつもの店で(未だ名前がわからない)卵だけ買って帰ろうと店に入ると、“Hello, beautiful ladies!”と声をかけられ、「あなたたちにニックネームを付けたのよ。フラワーレディーズって言うの。大きいのと小さいの」。
以前、紫とピンクのグラデーションの格好をしていたら、「その色大好き!」って言ってくれた頭に花飾りをしている女性。彼女は「フラワーパワーがある」と言われているそう。
素敵な渾名をいただいて、嬉しい気持ちで店を後にする。

f:id:lifeischallenge:20170827190720j:image

帰り道、アブドラがいそうな気がして公園に寄ってみる。あ、いたいた。ほとんど追っかけと化している私だが、アブドラはにこやかに引き続きアラビア語レッスンをしてくれた。
I love you は、アハッ ピック。
I'm happy は、ア サイート。
I'm sorry は、アナ アーシフ。

綺麗だからもっと字を書いてほしい、とお願いすると、何を書こうか……としばらく迷って、my mother, my father, my brother, my sister, my son……と言いながら書き始めた。
“Your son?”と尋ねると、へ? という顔を一瞬して「違う違う」と大笑い。名前を書いているわけじゃなく、その言葉を書いていたのだった。


家族のこととか、ホームタウンのこととか書いて、と言うと、「expressionは苦手」。
家族のことを書くのも好きじゃないし、街のことも隣町には行ったことがないから……と。
好きな時間は? と尋ねると、「週末。土曜日は友達とドライブしてレストランに行って夜通し遊ぶから寝るのは朝5時。日曜日の昼間はずっと寝てる」。
サウジアラビアでは17歳から国内は運転できて、18歳になったら近隣諸国で運転していいのだそうだ。アルコールは禁止だから、友達と夜通しレストランにいても飲酒運転の危険はないわけか……。もっといろいろなことを聞いてみたくても、英語とアラビア語のグーグル翻訳はなかなか時間がかかる。
思いついて、鶴を折って日本語で「アブドラに幸あれ」とメッセージを書いて渡すと笑顔になって、ニックネームも書いて、と。
彼のニックネームはMr.3ヴィップ。今度会ったら、そう声をかけよう。

 

家に帰って、この週末でフランスに帰ってしまうクェンティンに声をかける。最後の金曜だからパブかどこかへ出かけるかと思ったけれど、今日は家でごはんを食べるというので、「豆ごはんのシンプル・ヘルシー・ジャパニーズだけど、食べる?」と聞くと、「もちろん」と。
最後の日くらい、みんなで一緒にごはんを食べたかったので、アレクシ、アイヴァンにも尋ねると、二人とも今日はパブへ行くというので、海で泳いで帰ってきたレオと一緒に4人でごはん。
さすがに豆ごはんとキヌサヤの卵とじだけじゃなぁ、と、冷凍しておいたサーモンと鮪を大急ぎで解凍し、焼くことに。味付けは生姜と酒と醤油と、みりんがないのでちょっぴりの砂糖。

f:id:lifeischallenge:20170827185633j:image
クェンティンとレオにはフォークとナイフとスプーンを渡したのに、箸で食べてみる、と言って二人とも初めての箸づかいに挑戦。
初めて食べるキヌサヤの卵とじも豆ごはんも、お代わりして完食。

最後まで箸を使ってくれたのは、二人の優しさだなぁと思った。
娘も三杯お代わりして、病み上がりとは思えない食欲を発揮。


クェンティン・タランティーノコーエン兄弟が好きで、宮崎駿の映画を観て泣かなかったことはない、というレオは、映画監督かフットボール選手に憧れている。
テニス、ラグビー、スキーが得意というクェンティンは経済を学んでいて、広告マーケティング等の業界に入りたいのだとか。

二人ほぼ同時にやってきて、フランスの出身地もたまたま同じで、いつも二人で料理して、クラスまで一緒だったレオとクェンティン。
クェンティンが1週間先に帰ってしまうと、レオは淋しいだろうなぁ。
すっかり寮母の気分で二人の若者に幸あれ、と願う。

 f:id:lifeischallenge:20170827190857j:image