55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

ファイナルは“おにぎりフライデー”

学校が始まって以来、毎週誰かを見送ってきた。
10週間というのは長いほうなので、前からいたクラスメイトや一緒に入った2〜3週間の生徒や、新しく入って先に卒業していくクラスメイトをたくさん……。
その度に自分が見送られる日をイメージしてきたけれど、遂に“その日”が来てしまった。
遠足の日の小学生みたいに、興奮して早く起きてしまった金曜日。
こんな日は、そうだ、おにぎりをつくろう。

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昨日も「日本に4ヶ月いた友達がお土産にキットカットをくれたんだけど、これが美味しくてね」と苺味のキットカットの写真を見せてくれたアドリアーノ
「昨日初めて“味噌汁”を飲んだよ。ワカメ? あれ、美味しいね」と言っていたジョン。
「日曜日の夜は必ずピザを食べながら映画を観るから、月曜日の朝ごはんはピザなんだって」と娘が嬉しそうに言っていたジェラルディン。
みんなにジャパニーズ・ソウル・フードを食べさせたい、と4合のお米を2回に分けて丁寧に洗って、1時間浸して、水は洗う前の米と同量にして、火にかける。
慎重に、慎重に。
電熱ヒーターは火加減が難しいけれど、少しずつ上手く炊くコツと習得してきた。
強火、弱火、最後にまた強火。蒸らしてから、そうっと蓋を開けたら、これまでで一番ふっくらと、いい感じに炊けていた。

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「いい匂いだねー」と起きてきた娘。
私はシャワーを浴び、思いついて浴衣まで着て準備万端。
割烹着みたいにエプロンをして4合のごはんをおにぎりに。
わかめ、おかか、梅。
おかかはお相撲さんのまわしみたいに海苔を巻いた。
全部で40個以上つくって、卵がたくさん残っていたので卵焼きも。
シェアハウスにあったタッパーに詰め、風呂敷で包んで学校への道を行く。
見慣れた景色も今日まで、と思いながら、娘と二人歩いていると、まるで卒業式に同伴する母親みたい。
「久しぶりにお母さんみたいだ」と呟くと、「ほんとだね。お母さんみたい。あ、自分のか」と娘。

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学校に着くと、アナンダが浴衣を見るなり「わーっ、かわいい〜。ジャパニーズ・ドレス!」。
前に着ていったのは7月7日。クラスメイトはほとんどノーコメントだったから、ちょっと嬉しい。
娘はアンジェラとアナンダに、折り紙で折ったコマとくす玉をプレゼント。
「ありがとう〜」と娘をハグするアンジェラ。
最初の4週間習ったキャロライン、そしてジェラルディンにも玄関で会って、挨拶したり、写真を撮ったり。

ジェラルディンとジョンにはおにぎり3個セット+卵焼きのお弁当を。

 

チョコレート・フライデーのテストは、なんと3チームが同点で、クラス全員でチョコレートを分ける。
休憩時間に「ジャパニーズ・ソウルフード“おにぎり”だよー」と包みを開くと、みんなが目を丸くして「食べていいの?」。
わかめはSeaweed、おかかはBonito、梅はPlum……とか説明すると、いろんな人がいろんなことを喋り始めて狭い部屋は騒然。

「うーん、美味しい。もう一個食べていい?」とアドリアーノ
卒業生の写真を撮りにきたニコラス(スタッフのナイスガイ)にもおにぎりを配り、ヴィヴィアニ(フィアンセと長期滞在しているブラジリアン)、アリアンナ(陽気なイタリアン・ガール)、娘と私の4人で記念撮影。


授業が始まって、広げたままだった包みを慌てて引っ込めると、アレッサンドロが「なんでしまったの?」。
もう一度出して渡すと、隣のアリアンナ、イヴァンと一緒にパクパク食べ始めた。

いつも「アイルランドに来て一番違うと思うものは?」という質問に、「フード!」と答え、いかにイタリア料理が美味しいかを力説していたアレッサンドロとアリアンナ。

さすが、おにぎり。
このままでは全部なくなる……と、先生やスタッフの人にも渡したかったので途中で回収すると、「もし、いらないって言われたら、僕に連絡してね」とアレッサンドロ。

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クラスメイト。

最初の頃はティーンエイジャーのイタリアン・ボーイズやガールズに挟まれて、「隣の人と会話して」と言われても、話が全然噛み合わなかったりして、申し訳ない思いにかられたことも頻繁にあった。
自分が見えない人間になった気がしたことも。
でも、いまはちゃんとクラスの一員。
仕事があるからちょっと早めに帰ってしまうアドリアーノもアンジェラも、机を回り込んで挨拶に来てくれた。
アンジェラはサプライズなプレゼントも手渡してくれて。

 

ジョンはこれからの旅の日程を詳しく聞いてくれて、いろいろアドバイスもしてくれた。いつでも、連絡をしてね、と。
ああ、本当に最終日なんだなぁ。

校長先生やお世話になったスタッフにもいろいろ挨拶をして、待っていてくれたアナンダと玄関で写真を撮って、マクローランズ・バーでホット・チョコレートとギネスで乾杯。

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また会おうね、私の友達。
10週間だけのクラスメイト。