55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

ベルファストの濃厚な3日間〜旅は思うようにいかないから旅なのだ〜

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9月10日。
シェアハウスを出る日。さすがに10週間もいると荷物は増えるし、取っ散らかる。いろいろな食材も食べて処分しなくちゃいけない。昨日予約したベルファスト行きの往復列車の発車時刻はダブリン16時。大急ぎで階段を上ったり下がったり、てんてこ舞い。
最後に一人残ることになるシェアメイトのイヴァン(最後に確認したらアイヴァンじゃなくてイヴァンだった)に挨拶にいったら、今日はどこへも出かけないとのこと。じゃあ、お好み焼き、一緒に食べる?と、つい誘ってしまう。
後から考えると、これがいけなかった。Howthで大量に買って冷凍しておいた海老、卵、キャベツ、紅生姜を食べるためにつくったのだけど、焼いている最中に大家さんのアンがやって来るわ(アンは結局昨日来なかった)、ボーイズが残していったごみの片付けはあるわ、イヴァンとつい話をしてしまうわ……で、みるみる時間は過ぎ、ダブリン発の列車に間に合うDARTに乗り遅れてしまった。

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日本のシステムとは違って、直前のキャンセルも効かないし、次の電車に乗ることもできず、結局17時発のバスでベルファストへ。
世界の車窓から」みたいな風景が広がる素敵な電車だったと友人から聞いていたので予約したのに、残念無念。帰りの電車で取り戻そう。

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ベルファストの宿は“ETAP Belfast”という市の中心部にあるビジネスホテルみたいなのを取っていたので、バスの終点(ヨーロッパ・バスターミナル)で降りて駅員さんに聞くと、歩いて5分だよ、と道を教えてくれた。
ある程度の荷物は置いてきたものの(シェアハウスの大家さんが預かってくれた!)、3週間の旅の荷物はそれでも重く、近いに越したことはない。
ホテルは24時間対応の都市型ホテルで、必要最低限のものが揃っていて、いわゆるルームサービスはないものの、ピザが£6.5で注文できた。Stella beer も買って、部屋でまったり食べる。部屋の外からはダンスビートが聞こえてきて、見ると隣のBarの中庭だった。

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久しぶりのホテルは明るく、シャワーの水圧は高く、ピザは美味しく、娘は上機嫌。
学校が終わり、旅が始まったんだなぁ、と夜を味わいながら眠りについた。

 

9月11日。
ベルファストで過ごす一日。
ジャイアンツ・コーズウェイとセットになったツアーでは訪れることができなかったシティホールへ行ってから、タイタニック・ボート・ツアーに参加することに。
https://laganboatcompany.com
ベルファストに来て最初に感じたのは、ダブリン以上に人が親切なこと。ガイドブックやiPadを手に立ち止まっていると、わざわざ引き返してきて、“May I help you?”。
ダブリンほどの観光客はいないけれど、訪れた人を歓迎する温かさが感じられる。

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1906年に建てられたシティホール(市庁舎)は、高さ53mに達するという中央のドームをはじめ見事な彫像に重厚な大理石、美しいステンドグラスに彩られ、市庁舎として機能していることが信じられないほど。

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Tourist Exhibition の16の部屋を一つ一つ見ていくと、ナショナリストカトリック系住民)とユニオニストプロテスタント系住民)が凄まじい対立と紛争を超えて和平への道を拓いた歴史がわかるようになっている。
政治と暮らしは切り離せない。ベルファストの歴史からは学ぶことが山ほどある。女たちの姿勢もそこに大きく関わっている。

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“Reflection”と題された14番目の部屋には、嘆きと絶望の中から共感と希望を紡ごうとする普通の市民の言葉がいくつも刻まれていて、胸がいっぱいになった。

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市庁舎を出て、ベンチで美しい建物を眺めながら朝ごはんの残りのヨーグルトを食べて、ボートツアーの発着場があるドニゴール・キーへ。
タイタニック号の歴史にはそれほど興味はなく、このツアーを予約したのは専らアザラシが見たかったから。
発着場周辺にはアザラシのオブジェがあるから、きっと見られるのだろう。

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時間が来て乗り込むと、小さなボートには私たちを含め乗船客は4人。降り出した雨をよけながら、自由に船内を移動できるのは嬉しい。
ガイドさんの説明を聞きながらタイタニック号へと乗船客を運んだ連絡船の航海コースを行く。雨と船のエンジン音、早口で中身はほとんど聞き取れず。

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娘はしっかり船の上でうたた寝。乗船代£10がもったいないから起きろ、と叩き起こすと、ガイドさんが、「ほらほら、こっち!」と。
指差した方向を見ると、いたいた、アザラシの群れ。寝そべって、日光浴(?)をしている様子。さっきまで舟を漕いでいた娘もカメラを構えて大興奮。

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こんなにたくさんのアザラシ、間近で見たことない!と。
これだけでもボートに乗ったかいがある。
びっくりするほどのカモメの大群も見られて満足満足。

ボートを降りてからは昼と夜兼用ごはんを食べるべく、Mourne Seafood Barへ。
https://www.mourneseafood.com
地球の歩き方」に「新鮮な魚介類を手軽に楽しんでもらうというのがコンセプトの人気店」と書かれていた店。途中でわからなくなり、地図を眺めていたら、また親切な紳士が「どこに行こうとしているの?」。
名前を言っただけですぐ教えてくれたから、有名な店なのだろう。予約はしていなかったけれど早い時間帯だったのですぐに入れた。

生牡蠣、魚介のキャセロール、チップスを注文。

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どれも勢いのある料理で美味しかったけど、とくにキャセロールは魚介のエキスがたっぷりのトマトソース、味が染み込んだポテトとリーキがとても美味しかった。
スパークリングワインと白ワインのグラスを頼み、デザートまで食べたらお腹いっぱい(デザートはいらなかった)。
店を出ると壁画が。このまちの歴史を学ぶことは、和平への道筋を学ぶこと。希望の描き方を具体的に知ること。

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帰ってからホテルのラウンジでサッカーゲームをして、バカみたいに必死になって、笑って、最後は娘に勝ったのだった。

 

9月12日。
ベルファストからタラモアへ行く日。
中央駅へは歩いて15分とホテルの人に聞いていたけど、荷物は重いし、早めに出なくちゃ、と思いつつ、出発できたのは10時。10時30分発に間に合うか、必死で歩く。
でも、歩いても歩いても、なかなか近づかない。私の荷物はキャスターのついた小さなスーツケースに大きなバックパック、パンパンに詰めたボストンバックにショルダーバッグ、食べものの入ったトートバッグ。
娘は巨大なスーツケースにリュックにショルダーバッグ。
弾む息を「頑張れ、自分」となだめながらなんとか時間までに駅に到着。ゆみ子さんから、「アイリッシュの“歩いて何分”っていうのは信用しないほうがいいよ、平気で倍はかかるから」という言葉をもっと早く思い出すべきだった。


急いでチケットの発券機を探すがどこにもない。窓口で尋ねると、ダブリンからの往復チケットだから持っているはず、と冷たい返事。
そう、たとえ乗り遅れても、ダブリンで発券しておかなければいけないチケットだったのだ。
噴き出す汗と胃の軋み、そして捨ててしまった€78(2人分の往復)……。
駅のベンチでしばらく立ち尽くしながら、これこそが旅、と思い直す。
3(ケータイ会社)のWi-FiはU.K.だからか使えないので、市庁舎まで重い荷物を引きずりながら戻り、一番安くダブリンに帰る方法を検索。
来た時と同じバス・エーラン(ダブリン空港経由)がオンラインで1人€10だったので早速予約(
来るときはバス・センターの券売機で直接買って1人€18だった)。結局往復バスになってしまい、「世界の車窓から」のゆったり気分と景色は味わえなかったけれど、いい勉強になったと思うことにする。
バスの車窓から見える景色も、それは綺麗だったし。

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13時発のバスでダブリンには15時半に到着、ルアスでヒューストン駅まで行って、電車でタラモア駅に着くと17時半。
聞いていた番号に電話したら、ダーモットさんという運転手さんがやって来て、雨の中タクシーで目的地へ。
10kmの距離を飛ばしてアンナハーヴィ・ファームにやっと着いた。
ああ、牛がいる、馬がいる、犬もいる、猫まで……。
一日がかりの移動に娘も私もすっかり消耗したけれど、晩ごはんで出されたカレーライスはとっても美味しく、疲れが一気に吹き飛んだのだった。

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アンナハーヴィは3月から楽しみにしていた乗馬宿。一日2時間の乗馬レッスンと3食付き。
これから5日間、馬と一緒に広々とした農場ライフを味わおう。