55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

愛しのルパートに再会!〜アンナハーヴィ・ファーム一日目

 2年前、アンナハーヴィ・ファームに来た時の感動をいまも鮮烈に思い出す。

 馬だけじゃなく、犬や猫、鳥、人、さまざまないのちが互いに支え合って生きている姿が、美しかった。ベッドサイドに置いてあるDeverell Famillyの5世代に及ぶ物語は壮大でドラマティック。永遠に続くようにと願わずにはいられないものだったが、永遠なんてものはなく、一日一日の地道な日常の上になんとかバランスをとって続いていっているのだろう。

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 その真ん中にいるリンダとヘンリー。19歳で農場を継ぐことになったヘンリーがリンダと出逢って、いまの形に持ってくるまで、それは大変な苦労があっただろう。でも、そんなことはかけらも感じさせない、絵に描いたように「幸せな家族」。リンダのくれた絵はいま我が家の玄関に飾ってあって、夫にとってはその作者に会える今回の旅だ。

 

 タラモアの駅にはタクシーは一台もなく、教えてもらった電話番号をかけて待つこと20分。かなり高齢のThomasが迎えにきてくれて、アンナハーヴィ・ファームに着いた。すぐに出迎えてくれたのはリンダ。“Welcome back!”と爽やかな笑顔で荷物をすぐに運んでくれた。

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 着いたのは1時過ぎ。ランチタイムには遅れたかな、と思ったけれど、ちょうどよかったみたいで、サーモンがたっぷり載ったオープンサンドをいただく。サーモン好きな娘は大喜びだが、隣のテーブルのティーンエイジャーらしきグループは食が進まない様子。サーモンを山ほど残し、代わりにTAYTOのポテチの袋を残して去っていった。あの賑やかさとワガママさはイタリアン・ガールズに違いない。

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 午後のレッスンは3時半から、と告げられ、その前に厩舎を見に行く。いた、ルパートだ。いきなりアクションカメラマンになる娘。Twixもいる。バジルの姿は見えない。それにしても夫、64歳にして初乗馬。万一のことがないとは言えない。どんな馬に乗るのだろう。

 娘は「ルパートに乗せてもらえるかな」とそわそわ落ち着かない。2年前、私が最初に乗ったバジルは24歳くらいだった。姿が見えなかっただけに、不安がよぎる。

 

 時間が来て、厩舎のほうへ行くと、前にもお世話になったエヴェリンが前のクラスを終えてフィールドから戻ってきた。私たちのことを覚えてくれていて、「ああ、戻ってきたのね!」と。

 そして、にこやかに「あなたはルパートね」と告げられて「やった!」と娘。「せつ子は……バジル」。よかった! 

 というわけで、2年前はチェンジしてもらったバジルに、ありがたく乗ることに。そして夫にはオジーという大きな白い馬。

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 いまさらに気がついたのだが、夫と娘は帽子がぴったりハマる。私はどんなにぴったりのを選んでも前後にフラフラ。そう、頭の形が縦長でないと収まりが悪いのだ。ということは、私よりもっと横長の人はそこでアウトじゃん!

 ともかくも、外のアリーナで初めて馬に跨った夫。でも、その姿に何か違和感が漂う。

「とう、大丈夫?」と娘。「うん」と答えるものの、不安げな夫。しばらく見ていると、どうも遊園地とかでポニーに乗せられた子どもみたい。何度もエヴェリンに「キック! キック!」と言われるが、馬があんまり動かない。

  何度かアウトドアのアリーナをぐるぐる回り、トロット(速歩)もやって、外へ出る。空は青く、雲が綺麗。穏やかにカーブする緑の丘、林、牛たち。ああ、ここは本当に地上の楽園だ。私たちのほかにロンドンから来たという母娘も一緒で、女の子は馬が歩かないから途中で先生が綱を繋いで引っ張っている。

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 いつも以上に楽しかったのは、マーフィーがずっと付いてきてくれたこと。絶対なついてくれない小さなジャックラッセルテリア。馬を追うのが自分の仕事だと思っていて、農場のパトロールに余念がない犬のおまわりさん(?)。以前いたラブラドルのロッキーの姿が見えないけれど、そのことについて尋ねる勇気はない。


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 無事に馬から降りた夫に「どうだった?」と聞くと、「楽しかった。でも、オジーはちょっと僕には大き過ぎる気がする」。

 そう、身長の割に手足が短いために、胴輪を持つと前のめり、キックしようとしても足がパタパタするだけになってしまうらしい。

 オジーはカッコいい馬だけど、チェンジしてもらったほうがいいね……と明日の台詞を考える。

“Ozzie is a nice horse but he is too big for me, because my legs & arms are too short……”

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  夕飯はパプリカとチキンの炒め物に雑穀入りのラップ。サルサソースとサワークリームとチーズが添えてある。デザートはあまーいブラウンシュガーの蒸しパンみたいなのと、とろけるアイス。

 お腹がいっぱいになると、夕陽が沈むまで待てなかった。部屋に帰って横になった瞬間、爆睡。深夜に起きてトランプを1時間やって、もう一度眠ったのだった。