55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

Thanks a million! 〜また、いつか〜

さて、ここからは後日談。

 

行方不明だったスーツケースは一日遅れで成田に届き、その日のうちに宅急便で届けられた。
日本に帰ったら、ああ、あれは夢だったんじゃないか……と、なんとも言えない虚しさに襲われそうだという予想は外れ、3ヶ月の日々は眩しい思い出というよりは日常と地続き、見えなかった扉が次々に開かれた感覚だ。

 

あの岩だらけの大地と崖、鳥が飛び交う大きな空とドラマチックな雲、強い風と砕け散る波、草を喰む羊や牛や馬、そして無敵な虹。
親切でお人好しでちょっぴりシャイで、人に怒られるのが嫌いで、その代わり誰のことも怒らない愛すべき自由な人々。
初めて訪れたのに、初めてとは思えない懐かしさと「生きる」ことの生々しさが細胞レベルで迫った日々は、自分の中にいまもヴィヴィッドに生き続けている。

でも、それ以上に生きているのは、アンジェラやアナンダ、アブドラやアレクシ、セシルにローラ、アドリアーノ……ら、ちょっと変わったクラスメイトの癖のある英語と愛しい笑顔。
もし、彼らに会わなければ、コロンビアという国も、ブラジルも、サウジアラビアも、フランスも、遠い国だった。
「多様性」という言葉が、こんなに深くからだに落ちたことは、かつてなかった。

そして、働かずに学んだ毎日は、初恋の人に再会したような恥ずかしさと嬉しさに満ちていた。

 

日本に帰ってやったことといえば、トイレの便座の保温スイッチを切ったことと、土鍋でごはんを炊いたこと、鰹節と昆布で出汁をひいた味噌汁をつくったこと。
3ヶ月いなかったから忘れちゃったかな、と思った犬は、顔を見た瞬間尻尾をビュンビュン振って顔をこすりつけてきて、その後家を3周。
オカメインコは娘の声に応えて、ずーっと「ホイヨ」の掛け合いを続けていた。

家の中はほとんど何も変わっておらず、テーブルの上に置いた荷物、椅子に引っ掛けておいた焼き菓子、いろいろなところに散らばった書類やその他も見事にそのまんま。
賞味期限2週間の焼き菓子をとりあえず食べてみたら全然OK、他にも期限切れのものを探して食べている。

嬉しかったのは、久しぶりに家のベッドで寝ようとしたら、布団はふんわり、シーツはピッと張っていたこと。
そして昼までしっかり寝てカーテンを開けると、窓が綺麗に磨かれていたこと。

変わらない、ということは、積極的な意志と行動。
犬も鳥も元気で、家の中も荒れず、ぱっと見、変わらずにあったということは、実は夫の努力の賜物だった。

 

アイルランドは「変わらない」国だとよく言われる。
街の風景が100年前とほとんど変わっていないドニゴールのダングロー。
ダブリンでさえ、大きくは変わっていない。
でも、それは何もしないからではなく、「変えない」意志と行動に支えられているのだろう。
何と言っても変わらないのは人々で、友人のミュージシャンが言った通り「バカみたいに親切な」人に何度も出会った。
人がたくさんいない、ということもあるのかもしれない。
人間本来の素朴なあたたかさ。その反面、成功した人をよく思わない気持ちもあるようで「U2のボノなんてみんな好きじゃない」とジョン(先生)が言ったときにはびっくりした。
アイルランドに伝わる昔話の激しさ、怖さ、血生臭さは、今回は感じられなかったけれど、この地の厚い岩盤の底、人間性の底にあるものなのかもしれない。

厳しい自然、岩だらけの大地と闘いながら、さらに英国に蹂躙され続け、主食のジャガイモ大飢饉に襲われ、それでも屈することなく生き抜いてきた人々。
人々を繋げたのは音楽、ダンス、言葉、そしてビール、ウィスキー。
アイルランドを何度も訪れる人が多いのは、そんな人間の「原点」に触れられるからかもしれない、とも思った。


何度か登場したミュージシャンは、「友人の」と呼ぶのはおこがましいけれど、アイルランドに行きたいと思ったきっかけもくれた人で、HEATWAVE山口洋さん。
アイルランド、とくにドニゴールを旅しながら聴く彼の音楽は、アップダウンの激しい一本道、その風景とあまりにぴったりでびっくりした。
滞在中お世話になった松井ゆみ子さんは彼が繋いでくれた人だけれど、初めて訪れたアイルランドが忘れられず、何年も通い、遂に移住してしまった人。
「不便を楽しめるようになれば、どこでも生きていける」
そんな彼女の言葉を滞在中の励みにした。いま彼女は「不便ってナニ?って感じ」らしい。

 

3ヶ月と10日、娘との関係もいろいろあった。
ダブリンからダン・レアリーに移って、家の近所の公園で、あまりの人の多さに泣いた娘。
娘は中学の時、登校拒否、もとい、登校はしてもクラスに行くのを拒否していた。
きっかけは男子の言葉の暴力。それがどの程度のものかは本人でなければわからない。
でも、それ以来、高校生になっても、男子というものに恐怖心を抱き続けていたらしい。
それが、シェアハウスで奇しくもボーイズと一緒に暮らすことになり、アレクシやリオやクエンティンやイーヴァンのためにローストチキンやグラタン・ドフィノワを一生懸命つくった。
英語が嫌いで、行けばなんとかなる、と言っていた英語も、たいして勉強しないからそれほど上達しなかったけれど、それでも私とは違う人間関係をつくっていた。
言葉は大事。でも、全てじゃない。
いろいろな場面でしっかりしていない娘に頭にくることがたくさんありながら、でも、助けられる場面もたくさんあった。凸凹。
なんと言っても、こんなに長く娘との一緒にいたのは赤ちゃんのとき以来。
電車に乗り遅れたり、無賃乗車したり、一緒にお腹を壊したり、大量のおにぎりをつくったり、同じ友達と遊んだり、パスポートを失くしたり、そのおかげで美味しいお寿司に出会えたり。
母娘、を外れた関係の中での出来事は、いつか愛しい思い出になるだろう。

 

55歳。
書いてみると重い数字の並びではあるけれど、重い荷物はできるだけ降ろして、軽やかに動いていきたいなぁ。
アイリッシュのオジさんみたいに、いつもギネスを飲んでいて、チャーミングな笑顔で時々アイロニックなジョークを言うような、そんな人になりたい。
そして、虹を見逃さないように、いつも空を仰いでいたい。

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そもそもこのブログは、日記を書き続けることができない自分のために、そして、知人・友人に「無事」を伝えるために、始めたものです。
正直、ほぼ毎日書き続けることはきつかったです。
でも、読んでくれる人がいるということが、どれほど励ましになり、どれほど心を温めてくれたか。
時々メールで「大丈夫?」「読んでるよー」と連絡をくれる友人・知人のありがたさ。
そして、会ったことのない、はてなブログのコミュニティの方々のエールに、何度も支えられました。

こんな時、アイルランドではこう言います。
Thanks a million!!!!

 

とりあえず、明日9日は、浅草で開かれる「ケルト市」に行ってこようと思います。
http://www.mplant.com/celticmarket/index.html
そして、もしかしたらここで、何かの会が持てればいいなと思っています。
http://www.celtic-moon.jp
まだ、何も決まっていませんが。

 

また、ここから繋がる何かがあればお知らせしますが、ひとまず最終回です。
ご愛読、本当にありがとうございました。

See you again!

また、いつか。

 

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アイルランド留学を考えていらっしゃる方、また他のことでも、何かあればこちらへメッセージください。

kisaramoon1117@gmail.com

日本に帰ってきた!〜最後まで、走り続ける私たち〜

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10月4日。

夜通し荷物のパッキングとブログ書きに費やし、寝たのが3時過ぎ、起床は6時。7時15分にチェックアウトして、空港に着いたら7時40分。
ここまではなんとか順調だった。フィンエアーの手荷物カウンターに行くと長蛇の列。ツアー客が30人以上並んでいた。カウンターは1つ。当然時間がかかるわけで、私たちの後ろにできた列の人たちもため息をついている。出発は10時25分、搭乗が9時55分。最後にアイリッシュウィスキーを買おうと思っていたのに、時間がどんどん失くなっていく。


ようやく順番が回ってきたのが8時40分。

帰りの荷物は二人でスーツケース(大)3個、スーツケース(小)1個、バックパック1個、ボストンバッグ1個、大きな紙袋1個、リュックとショルダーバッグ。つまり、来た時よりも2個増えている。
一人2個まで預けられるからスーツケース4個を渡そうとしたら、「他の荷物は預けないの?」とカウンターの担当者。「妙に多いけど」


ちなみに、預けるとしたら幾ら?と尋ねると「€75くらいかしら」。
そんな出費はノーサンキュー。機内持ち込みは、原則各自1個ずつ。でも、免税店で買ったお土産をたくさん抱えて乗る人もいるよね……と、「これはいわゆるハンドバッグで、この紙袋はお土産で……」とごまかしながら、スーツケース4個だけ預けようとしたら、いきなり重量オーバー。
買ったばかりのスーツケースがなんと26kg。いったん引き上げて中の荷物を引っ張り出す。


後ろで待っているお客さんは相当イライラしているだろうなぁ……と申し訳なくて、とりあえず手に触ったジャムの瓶2個と小さなお酒のボトル3個、BOSEのスピーカーを引っ張り出す。
測り直すと24kg。本当は最大23kgなのに大目に見てくれたのか、なんとかベルトの上を飲み込まれていった。
担当者は大きな紙袋がよほど気になったのか、何かブツブツ言っていたけれど、ここは気にせず先を急ぐ。

 

ところが手荷物検査でまた引っかかる。まずバックパック。水筒にお茶を入れたままだったので「捨ててもいいか?と」聞かれ、もちろんOK。
そして例の紙袋。ジャムの瓶2個が「大き過ぎる」。泣く泣く廃棄を了承。こんなことなら、食べておけばよかったね、と娘。


そうこうしているうちに9時15分。
カードにまとまっている免税払い戻しセルフサービス・カウンターがまた混んでいて、30分は待った。こんな複雑な手続きのカウンターが、なんで1つしかないんだろう。
その隣で手書きでやることもできることに気づいたのは、面倒な手続きを全て終了した後だった。
既に時計は9時50分。搭乗時間ギリギリ。でも、ウィスキーだけは買わなくちゃ。

 

結局、選ぶ時間がないなかウィスキーやチョコレート、ポテチの大袋など、かさばるものを山ほど買って搭乗口に走り込んだら、出発時刻の5分前。
その時のCAさんの怒った顔といったら。
「荷物が多過ぎる! もう買わないで、ってあの時言ったでしょ!」
見ると、手荷物カウンターにいた女性だった。

ああ、それを言っていたんですね。ごめんなさい。
“Sorry! Sorry!”とひたすら繰り返しながら機内に乗り込むと、CAのチーフみたいな女性が“No problem”と言ってくれて地獄に仏。

荷物を減らそうと着込んだダウンにアランセーターから汗がポタポタとこぼれ落ち、胃がよじれるように痛かった。

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乗り換えのヘルシンキ空港では、珍しく搭乗時刻ぴったりにゲートに入ろうとしたら、「これは違う飛行機よ」。

またまた空港内を走る私たち。預けていない手荷物が石のよう。

と、その時、知っている顔が目の前に。
夫が「帰国日が同じらしいよ」と言っていた、リトアニアの服を扱っているアグレアブル・ミュゼのいしださん。本当に空港で会えるとは。

私たちが間違えた東京行きの便に乗るとのことで、「まあ、間違えたおかげで会えたんだね」と娘と言いながら、走る、走る。

 

機内で映画を観た。

話題だったのに観ていなかった『湯を沸かすほどの熱い愛』。

母と娘という関係を軸に、末期がんに侵されたシングル・マザーを宮沢りえ、いじめに遭っている娘を杉咲花が演じて、とてもよかった。

人間のバカさ、哀しさ、優しさ、儚さ、強さを、時にコミカルにしみじみ描きながら、「どうしようもならないこと」にどう向き合うか、を考えさせる。

 

この映画を、このタイミングで観られてよかった、と思った。

何処へ行っても人は人で、完璧な人は一人もいなくて、その歪さを補い合うために、人は人と繋がり合う。
凸凹が激しければ激しいほどに、人の繋がりは深くなるし、自然が厳しいほどに人は優しくなることができる。
そして自然は常に大きく、厳しく、美しく、そこには是非も善悪もない。

アイルランドの人々の優しさが、母娘で過ごした日々が、蘇って心が熱くなった。

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成田に着くと、スーツケースが1個紛失。重量オーバーで中身を減らしたスーツケース。
JALの担当者いわく「ヘルシンキに忘れられたんだと思います。よくあるんです」。
おかげで荷物が一つ減ったね、と娘。
成田から立川までのバスに乗ると鱗雲が空一面に。
「ほら、観て。空が綺麗」とつい大声で言ってしまう。

「知ってる」と娘。

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 鍋焼きうどんを食べて家に戻ると、犬と鳥が待っていた。

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最後の晩餐は、やっぱりおにぎり!

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アイルランドで過ごす最後の一日。
どこでどんな風に過ごすか。考える余地はない。なぜなら、忘れ物を取りに行かなければいけないから。
タラモアの、アンナハーヴィファーム。
忘れ物は、娘の毛布。赤ちゃんの頃から使っていて、それがないと眠れない、とスーツケースに詰めてきたもの。
でも、初恋に夢中で忘れるくらいだから、もう卒業ってことでいいんじゃないの?
と言ったが、そのままにはできないらしい。
初恋の相手は馬のRupertだけど。

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スカイロン・ホテルからバスでヒューストン駅へ。

1926年イースター蜂起の舞台となった中央郵便局、独立の指導者たちの像、高くトンがったミレニアム・タワー、リフィー川、トリニティ・カレッジ……。

観光バスに乗っているみたいに、ダブリンの街を記憶に留める。

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タラモアの駅でタクシーを拾い、ファームのレセプション前で降りると、懐かしい匂い。窓越しにリンダを見つけて手を振る。
使い古した小さな毛布を受け取り、アイスランドのお土産と、残った日本の食材(わかめ茶漬)を渡し、「また来ます」と挨拶。
リンダは「もちろん。待ってる」と。
馬たちに会いにいこうと玄関を出ると、Rocky(ラブラドール)が尻尾をぶんぶん振りながら近づいてきて、馬のほうへと案内してくれる。

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厩舎に残っているのは数頭で、その中に最初に乗ったBasilがいた。
改めて見ると、なんて穏やかで優しい目をした馬だったのだろう。

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他の馬たちは外でのんびり過ごしていて、すぐにTwixを発見。名前を呼ぶと、ゆっくり近づいてきてくれた。
なぜだろう。前よりも関係が近くなった気がする。

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娘は最愛のRupertの名を何度も呼ぶが、猫みたいに奔放な馬はちらっと視線を向けるだけ。
馬たちは互いの首筋や鬣を舐め合ったり、ゆっくり散歩したり、気ままに過ごしている。
2週間ぶりだからそんなに変わっているはずもないけれど、馬たちの顔、匂い、ファームに満ちる空気、犬も猫も馬も人間も一緒に生きている感じ、すべてが、とても懐かしく愛しかった。

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たとえ学校を再訪してもクラスメイトには会えないけれど、ここに来ればみんながいる、と思うとほっとする。
でも、それは幻想で、次に来る時に同じものはない。
それは淋しいけれど、楽しみなことでもある。
すべては変わり続ける。

だから、いいのだ。

 

タラモアの帰りに、ニューブリッジで大切な人と待ち合わせ。
アイルランド在住で、滞在中ずっと私と娘を気にかけていてくれた料理家の松井ゆみ子さん。
そもそもアンナハーヴィのことを教えてくれたのは彼女だった。

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彼女が17年住んでいる家は光が綺麗に入る居心地のいい家で、テーブルの上にはおにぎりと卵焼き、人参のきんぴらとインゲンのお浸し、そして白菜漬けが用意されていた。
そして、サンドイッチと野菜ときのこがたっぷりのスープ。

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「おいしそう!食べていい?」とすぐに手を伸ばす娘。
私とゆみ子さんはワインで「スロンチャ!」。

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学校の話、食べ物の話、アイルランドの人々の話、リムリックのカルチャー・ナイト、トム・ペティ……。

丁寧に心を込めてつくられた手料理を食べて、飲んで、喋って、笑って……。

気がつけば夜も更けていて、大慌てで電車に飛び乗る。
アイルランド最後の日、すべてが満たされて、幸せだったね。
娘が深く頷いた。

 

 

 

 

ダブリンへ。ダン・レアリーへ〜サヨナラ、私の友達〜

ダブリンへ帰る日。
あいにく天気は雨模様。
クヴェラゲルジの温泉宿“Frost & Fire”で2日目の朝食を食べ、タクシーを呼んでもらってバス停へ。
バス停の近くには壁画というか落書きがあり、シザーハンズセックス・ピストルズの絵が。

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写真を撮っていたら、雨は止み、虹が架かった。
Mjoddの駅で乗り換えてBSIバスターミナルへ。行けなかったブルーラグーンのヴァウチャーを空港までのシャトルバス、Fly Busのチケットに交換してもらってケプラヴィーク空港へ行く。
移動の度に乗るバスだけど、窓から見える景色に何度もシャッターを押してしまう。

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何もかもが激しく厳しく美しい国
最後に思ったのは、ここでなら運転できたんじゃないか、ということ。
とにかく道はまっすぐで一本道。
でも右側車線だし、日本でほとんど運転してないから、勇気がなかった。
国際免許証、せっかく持ってきたけれど。
いつかまた来る時は、レンタカーを借りよう。

そして、自分のペースで自然と向き合えれば、また違う旅になるだろう。

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ケプラヴィーク空港に早めに着いたので、アイスランド・ウールの毛糸やブランケット(ウール製品は物価が高いこの国で唯一、普通の値段!)、チョコなどお土産を選んでいたら、またゲートまで走ることになった。

心配していた再入国のイミグレーションも、日本に帰るチケットを見せたら無事通過。

アイスランドを挟んだけれど、トータルすると3ヶ月を超えるので、ずっと心配していたのだった。

出国すればチャラになるという人と、いやそうじゃない、と言う人と。実際のところははっきりわからず、入国管理官の裁量にかかっているんじゃないか、と言われることが多かったので、クリアできて本当によかった。安堵してサラダとサンドイッチを買って、ホテルまでタクシーを拾う。


そしてホテルに着くと、ラウンジにたくさん人がいて、お喋りしながらギネスやワインを飲んでいた。
その時の、ふんわり柔らかく包まれる感じといったら。
ああ、帰ってきた。ホテルのベッドに横になると、すぐに眠りに落ちた。

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翌日は、ダン・レアリーのシェアハウスに預けてきた荷物を取りに行く日。
ホテルの近くでバスに乗り、まずシティセンターへ向かう。
2階建てのバス、独特のアナウンス、窓の外に見えるギネスの看板、たくさんのパブ、巨大な街路樹、青い空と力強い雲……。
全てが懐かしく迫ってきて、そう思えることを幸せだなと思う。

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シティセンターでは最後のお土産を買う。私にとっては最後でも娘にとってはほとんど最初。
アイルランドのものが一堂に集うキルケニー・ショップで、さんざん迷った末に、娘はチョコやショートブレッドアイリッシュウィスキーのケーキなどを買っていた。
私はアイリッシュ・リネンや石鹸、チョコレートや紅茶を見る。

買い物のあとはカフェで一服して、バスでダン・レアリーに向かう。
バスから見える景色が妙に懐かしい。何度も何度も乗ったバス。でも、今日で最後、と思うと、いろいろな思い出が蘇って来る。

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ボールズブリッジのダブリン・ホースショー。
ローラ、アレクシ、賑やかなイタリアン・ガールズと行ったブラックロックにあるフィッシュ&チップスとイタリアン・フードの店。
ダン・レアリーの海。
海の色はひときわ濃く、白いヨットが眩しかった。

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ペニーズで€50のスーツケースを買って、シェアハウスへ。
ドアを開けると何も変わってなかった。
そして、私たちの荷物も、置いていったそのままの姿でそこにあった。
懐かしい我が家に帰ってきた感じがするが、それは気のせい。もう、ここに私たちの場所はない。

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買ったばかりのスーツケースに、はみ出した荷物と今日買ったお土産を詰めて、学校へ。
3週間の旅には必要ない、と置いてきた荷物。持ち歩いた荷物も十分重かったのに、さらにこれが加わると思うと気が遠くなってくる。
常に限界ギリギリ、大荷物を抱えて、時間がない!と叫びながら移動している私たち。

全然大人になれないなぁ。

 

15分遅れで到着した私たちを、授業が終わったアンジェラ、アナンダが玄関で待っていてくれた。
アナンダとは3週間ぶりの再会。アンジェラとは1週間ちょっと。

でも、本当に懐かしい。
ジェラルディン、ジョンにも挨拶。
学校はこの間いろいろ変わったようで、ジェラルディンは先生たちの統括責任者になっていた。だから授業はほとんどジョンが受け持っているらしい。

ジョンは“Hi,ladies! Did you survive?”とアイリッシュらしい挨拶。
「また会うからサヨナラは言わない」と言っていたジェラルディンに、“Goodbye”と言われ、本当にそうなんだなぁと思う。


わずか10週間だったけど、人は幾つになっても学べる、それを教えてくれた素敵な先生たち。
アイスランドで買ってきたチョコレートをジェラルディンに、自然石に古代文字が書かれたペンダント(あらゆる厄災から守る)をジェラルディンのお母さんに、小さなウォッカのボトルをジョンに渡す。
そして、アナンダとアンジェラには、それぞれ“Love”と“Success of Buisiness”と書かれたペンダントを。

夜はレストランのバイトが入っているというアンジェラ。ディナーはそこへ行くことにして、それまでの時間、アナンダとマクローランズ・バーで過ごす。

学校最後の日に来た店だ。同じ席、同じホットチョコレートとギネスで乾杯。


学校の最近の様子や私たちが旅で観てきたものをお互い報告し合いながら、前の時はまた会えると思うと淋しくなかったけど、今日は本当に最後……いう思いが募ってくる。
でも、コロンビアか日本か、はたまたハワイで会えるよね。

日本に来るなら春がいいよ。

そしたら、一緒に桜の下でおにぎりを食べながらお酒が飲めるよ。

え? コロンビアには季節がないの? 本当に?

そんな話をしながら、だらだらとお喋り。

 

アンジェラのバイトが始まる19時過ぎにレストランへ移動。アナンダは私の重いスーツケースを運んでくれる。
店の階段を必死に上ると、メイクをし、髪を綺麗にひっつめたアンジェラが迎えてくれた。前に来た時より慣れて、きびきびと滑らかに動いている。
娘はチキン・ティッカ・マサラを、私はキングプローン・サグを、アナンダはマッシュルームなんとかを注文。量はとんでもなく多く、最後はみんな目が泳いでいた。

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年齢も国籍も育った環境も全然違うけれど、大切な友達。
とってもラブリーで、ちょっと変わってて、アメイジングな友達。

でも、別れは必ずやって来るもの。いくら予習しても、慣れないもの。

バス停で、何度もハグして、最後は吹っ切るように歩き出し、二度と振り向かなかったアナンダ。

その後ろ姿を見送って、バスに乗った。

 

 

 

馬とラムチョップと誕生日

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朝、カーテンを開けると青い空。やった!
何処でもそうだけど、特にアイスランドはお天気で気分が全然変わる。今日が晴れていてよかった。“Hotel Frost & Fire”は、オーロラ&温泉に加えてスローフードな朝食が自慢の宿。とくに温泉スチームで蒸したライ麦パンと温泉卵が美味しいらしい。
9時過ぎにのんびり食べにいくと、昨日とは違う景色が広がるレストランは爽やかな空気でいっぱい。

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自家製Skyr(カッテージチーズとヨーグルトの中間みたいなの)やバターミルク、シリアル、自家製パン、自家製木苺のジャムにオレンジマーマレード、ほうれん草と生姜のスムージー、自分で焼くワッフルなどが並んでいた。
温泉卵をつくりたい人はスタッフにお願いすると、必要な個数の卵をくれて、釣り竿の先にぶら下がったネットに自分で入れて持っていく。
蒸気が上がる石窯に入れると、初めてなのに、なんとなく懐かしい。ああ、小学校の遠足で行った別府温泉で見た温泉卵だ。
結局、蒸した卵は固茹でで、あのトロリとした食感は味わえなかったけど、とても充実した朝ごはんだった。

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予定はとくに決めていなくて、宿でゆっくりできるといいと思っていたけれど、根っからの貧乏症に加えて今日は娘の誕生日。ずっと宿にいるのももったいない、と、乗馬ツアーに電話したら、午後、ホテルに迎えにきてくれるとの返事。ラッキー。
車を待つ間、ホテルの側を流れる川まで降りてみる。
渓流釣りの人が来てるから、魚がいるのだろう。
川からは湯気が上がっているから水はあったかいのかも、と触ってみたら冷たかった。そしてとても澄み切っていた。

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アイスランドの馬は、アイルランドの馬とは随分違ってポニーのように小さい。
でも、氷原を何キロでも走る強さを持つという。
車で20分ちょっと、Horse Rentalの看板を曲がると、アイルランドの羊よりひと回り大きくふかふかした羊たちが草を喰んでいた。

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ドイツから来たという家族と一緒に馬に乗って歩き始める。小さくて大人しく、手綱を少し引いただけで方向を確実に変えてくれるので安心して乗っていられる。
でも、娘と私の馬は食いしん坊のようで、しょっちゅう草を食べていた。
勇壮な山々、広がる大平原、羊や馬の群れを眺めながら2時間以上散歩。美し過ぎる景色を何度も網膜に焼きつける。
聞こえるのは羊たちの啼き声だけ。
雄大な景色を持って帰ることはできない。

気がつくと娘の馬がいない。インストラクターの女性は私たちを放って、娘のもとに。
ドイツからの家族は乗馬に慣れていて途中で小走りを始める。私は必死でついていく。
この時の、なんというか、風と大地と馬と、一体になった感じ。とにかく、気持ちよかった。

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しばらくしてから娘の馬が戻ってきた。

ホテルの手前で降ろしてもらい、昭和の香りたっぷりの(とこちらが思っているだけ)の店でソフトクリームを食べる。
「いいね、この辺に住んでる子かな」と娘。「うらやましい」
「なんで?」と聞くと「いつもこの店に来られるから」。ふーむ。

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早めの晩ごはんは、炭火焼きラムチョップが美味しい店へ。
私は3本、娘は4本。


羊さん、ごめんね。ありがとう。手を合わせていただく。
「これ、超・美味しい」と娘。
誕生日の抱負は、「人生楽しく生きたい!」だとか。
それだけは毎年変わっていない。努力とか忍耐とか根気とかに全く無縁、というか関心がない。
まあ、なんとか、生き抜いていってくれますように。

外へ出ると満天の星。
北斗七星も北極星カシオペア座もくっきり見える。
てくてく宿まで帰って、オーロラが見えるのを期待して露天風呂に入る。
カリフォルニアから来たというカップルと一緒に待つが、オーロラかと思いきや厚い雲が広がってきて、一気に空を覆い隠してしまった。
でも。
雲の上には星がある。
芥子粒のような私たちを天蓋のように包んで。

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オーロラと温泉の宿、“Frost & Fire”へ

アイスランドは車がないと何処へも行けない。
34万人しか住んでいないのだから、電車はもちろんないし、バスの便も限られている。
レンタカーを借りない旅行者はレイキャビクに滞在してバスツアーを利用するのがいちばん便利。
だから、最初はレイキャビクに6泊しようと思っていたのだけど、最後の2泊はクヴェルゲルジというオーロラがよく見えて温泉が噴き出しているまちに泊まることにした。

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予約したのは半年前。
娘の誕生日を、温泉に浸かりながらオーロラが見て過ごす、という夢を描いてその宿に決めたのだ。その名も“Frost & Fire”。レイキャビクからのバスは一日に3本しかないから忙しい。

というのも、ホエール・ウォッチングに再トライすることにしたから。
朝から雨で、とても見えそうにないけれど、せっかく「クジラ保証」があるのだし、もったいなから乗船することに。
天気は前回よりもずっと悪く、黒い雲がかかって雨風が吹き付ける。
舳先近くでずっと向かい風と雨を浴びてきたけれど、さすがに2時間近くもすると寒くなって、他の乗船客と一緒に船内に入った。
船内には船酔いしたのかぐったりして眠っている人がいっぱい。
私も寝るか、と思った時に、「11時半の方角」という声が聞こえた。
みんながザワザワし始める。慌てて外へ出て舳先のほうへ行くと、白い水飛沫が見えた。

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“Jumping”という声が聞こえたけれど、遠くて雨も降っているし、あまり見えない。
そのうち、また水飛沫。“Jumping again!”という声。
結局、私の目は姿を捉えることはできなかったけれど、後から聞くとミンククジラだったそうだ。ほとんどイルカみたいな小さなクジラ。そう言われると見えた気もしてくる。
とにかく見えたということで、ツアーはチケットの再発行なしに終了。
まあ、2回も船に乗れてよかった。

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昼食は、途中のコンビニみたいな店でソーセージとパン、ケチャップを買って帰り、ゲストハウスのキッチンでホットドッグをつくって食べる。
とっくにチェックアウトの時間は過ぎているのに厚かましい私たち。
でも、大目に見てくれて、ありがたかった。
Guesthouse Arkturus。お茶とコーヒーがいつもたっぷり用意されていて、キッチンは清潔で広く、部屋は温かく、居心地のいい宿だった。

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雨が止まない中、重い荷物を抱えて移動。ローカルバスでMjoddというレイキャビクの東端の駅へ行き、セルフォス行きのバスに乗り換えて37分。
バスを降りてからが遠かった。

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10分で着くはずの宿は、荷物を抱えて山道を登り、30分近くかかって到着。
あちこちで湯けむりが上がり、イオウの匂いが立ち込め、側には清流が流れている。
ちょっと黒川温泉みたい。いや、別府に近いだろうか。
露天風呂は水着で入らなければいけないことを除けば。

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夕食は宿に併設のVarma というレストランで。
泊まり客でないお客さんも予約して訪れる人気の秘密は、Hot Springで何時間もかけてつくる料理ゆえ。
地球の熱で料理したランゴスティーニのスープは、初めて食べる味の濃さだった。
そして、雨の中、傘を差して入る露天風呂は、なんとも言えないあたたかさだった。

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大自然と人間との壮大な物語〜サウス・アイスランド〜

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実はこれを書いているのはダブリン。アイスランドは欲張り過ぎて、とても書く時間がなかった。だから日記じゃないけれど、書いておかないと。あのヴィヴィッドでダイナミックな自然の営みを目の当たりにした日々を。

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アイスランド4日目。この日は6泊7日の滞在の中でも、いちばん綺麗な一日だった。
ゴールデン・サークルに続いて一日バスツアー。行き先はサウス・アイスランド。着いた日のシャトルバスのドライバー、アルバートのオススメの場所。天気は昨日から一転、快晴。3時間睡眠でなかなか目が開かないなか、頑張って支度をして出かける。
催行会社はゴールデン・サークルと同じBus Travel Iceland。Get Your Guideという同じサイトで申し込んだら、少し割引があってラッキー。

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ガイドさんはクラウディアという名の女性で、社会学を学んでいる大学生。アイスランドは物価が高いから、働かないと大変なのだとか。調べてみると、アルバイトでも時給3000kr〜らしい。確かに物価が高いということは、その分お給料も高いけど、働かないと食べていけないということ。だからどのレストランでもお子様メニューがあるし、交通費や入場料は12歳未満は無料、12歳から15歳は半額だったりするのか。
女性と男性の平等は法律で規定されていて、企業は従業員の4分の1は女性を雇わなければいけないし、産前産後のお給料ももちろん差をつけてはいけない。
つまり、働かないと生きていけない国なのだということ。

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最初はスコガフォス。バスから虹がかかっているのが見えた。近づくと凄い水の量。高さがあって威厳がある。登り口があり、上から滝を眺めることができるが30分で登って帰ってこられるか。でも挑戦してみよう、と登り始めたら、傾斜がきつくて大変だった。
観光客同士、頑張れ、とすれ違いざまに声をかけ合いながら登る。でも、滝は下から見たほうが壮大かな。

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ミールダールヨークトル氷河。氷河の上を歩く人は重装備。私たちは観るだけ。ここは一年中氷が溶けない場所。近づくと気温がぐんと低くなる。

Vikingが降り立った海沿いのまち、Vik(ヴィーク)で食事。
いわゆる何でもある観光地の学食みたいなレストラン。チキンカレー2300kr。高いけどしかたない。ビールも飲みたいけど高いから我慢して、レジでコーラを二人で1本注文。と、これがいけなかった。ビンをトレイに載せると滑りそうだから右手に持ち、左手にカレーを載せたトレイを持って席に着こうと動き出した瞬間、トレイの上をカレーが滑って移動した。
バランスを崩したトレイは片手では修復不可能。カレーはそのまま滑って、床に落っこちた。

覆水盆に返らず。割れたお皿を集めていると、スタッフさんがやってきて「大丈夫。片付けは任せて」。
ああ。それにしても。2300円のカレーが……。
今日は昼ごはん抜きでいいや、と思って席に着いたら娘がオカンムリ。どれだけ不注意なのか、カレーが食べたかった……とさんざん文句を言われ、結局同じものをまた注文することに。
4600円のカレーはほとんど味がなく、塩をふって食べた(カレーは暑い国の食べもの。アイスランドには向かないと思う)。

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でも、もし食べなかったら、この味もわからなかったし、食べなかったチキンカレーはずっと記憶に残るけど、2300円のことは忘れられるよね、と娘と納得し合う。
Vikの海岸は、息を飲む美しさだった。

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レイニスファラは、北アイルランドジャイアンツ・コーズウェイにも似た巨大な奇岩が並ぶ海岸で、ジャイアンツ・コーズウェイ以上に石柱がきっちりと並んで人間を見降ろしていた。鳥たちは近づくものがいないこの岩の上で巣をつくるのか、たくさん飛んでいた。

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砂浜は黒。溶岩が固まって砕けてできた色。そして美しい波は荒く、人を連れていくから決して近づいてはいけないとのこと。
アイスランドの中でも最も危険な海岸の一つらしい。とてもそうは見えない美しさ。

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ここで1時間半も過ごせるなんて嬉しい……とすっかりのんびりしていた私を呼ぶ娘の声。
「時間ないよー!!」
いけない。ガイドさんがバスの中で“half an hour”と言ったのをすっかり「1時間半」と記憶していた私。娘がパスポートをなくして以降、私が上だった母娘関係がすっかり逆転してしまった。

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最後はセーリャラントスフォス。
快晴に恵まれたからこその完璧な虹。
とても、人間が生み出せないもの。
水飛沫でびしょ濡れになりながら滝の裏側に回る人々。
消えない虹を眺めながら、人間が決して創り出せないものの大きさ、美しさを思った。

最後に、クラウディアが話してくれたお祖母さんの話。
大きな火山の噴火があった年。その土地に住む住民は、有毒ガスが立ち込めて、家に帰ることができなくなった。

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無理をした男性が一人ガスを吸って亡くなった。その時、クラウディアのお祖母さんはどうしても取りに行きたい大切なものがあって、家に戻ったのだという。
でも、お祖母さんは無事に戻ってこられた。
実は、お祖母さんは4歳で母親を亡くしている。
成人してから、母親が父親に宛てた手紙を母親の友人が持っているのを知り、訪ねていった。
大切なものとは、その母親から父親への何通もの手紙。
真っ暗で何も見えない中で、クラウディアのお祖母さんはその手紙を探し当て、有毒ガスにも飲み込まれず還ってきた、と。
そして、それを本にしたのだという。

十人に一人が作家だという国、アイスランド
人間と自然との関係がそんな物語を生んでいくのだ、と思った。

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夕飯は初の外食、アイルランド初ビール付き。

レトロなアメリカン・バーで、美味しく、リーズナブルな値段だった。

そして帰り道、教会の写真を撮っていると後ろから声をかけられ、振り向くと「あれ、オーロラだと思うんですけど」。

見上げると、レイキャビクの空に、くっきりと大きなオーロラのカーテンが。

明るい街中では見えないはずなのに。

わざわざ教えてくれた人に何度も御礼を言って、海まで走ったのだった。

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