55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

60歳からの監督日記? 初めての映画『杜人』上映で南仏へ!

2019年以来だから、ほぼ4年ぶりです!

皆さん、お元気だったでしょうか?

いま、南仏のスラスクという街に来ています。

窓から見えるのはこんな風景。和紙職人のブノワの研修用施設に滞在させてもらっています

アイルランド留学から帰ってきた翌年の5月から撮り始めた初のドキュメンタリー『杜人(もりびと)環境再生医 矢野智徳の挑戦』を4年がかりで完成させ、2022年4月にアップリンク吉祥寺で封切り。「ナウシカのような造園家」を追いかけた映画はおかげさまで全国46のミニシアターで公開され、現在も自主上映が全国で続いています。

ムッシュウ矢野がフランス語を喋り出しそう(⌒-⌒; ) 昨夜はアレスという街のシネコン宮崎駿監督の新作と一緒に上映💦

海を超えて映画を見つけてくださり、自力でフランス国内の配給をすべく大変な手続きを乗り越えてくださったのが島内アゾラン咲子さん。今回「2週間オキシタニーの日本祭」で4つの映画館での上映を決めてくださったのでした。

11月19日初上映はAlbiという世界遺産にもなっている古都で。左から通訳のユウスケさん、咲子さん、そしてダブリンの学校で同級生だったローラ!

半分くらいは上映後に帰っていかれて、半分のお客様とディスカッションをしました

まさか人生でこんなことがあるなんて、想像もしませんでしたが、2017年のアイルランド留学が大きな転機になったことは間違いありません。

その時にも感じた「足るを知る」暮らしぶりが、ここ南仏でも息づいていて、部屋は必要以上に明るくないし、寒いし、高速道路は街灯を消したそうで真っ暗だし。

でも、そのおかげで満点の星と月が世界を照らしてくれて、サラスクという田舎町で和紙職人を営むブノワ(大家さん)は島根の浜田市で和紙づくりを学び、コウゾをすいて本当に綺麗な和紙をコツコツとつくっています。

なんと絵になることでしょう! 静謐な空気と温かさ。南フランスではとても有名なアルティザン

今日の夕方と明日夜の上映&ディスカッションを終えたら一路東京に帰りますが、62歳の誕生日をペズナという街で迎えたことは、一生の宝物です。

ペズナをはじめロクシタニー州には日本が大好きな人が多いのだとか。この日は日本祭のオープニング・レセプションでした

配給に協力してくださる環境団体のコリーヌと話すと、神宮外苑の樹木伐採をとても心配していて、「フランスで署名を集めたら? そんなに木を伐るなんて、ありえない!」と。この夏、40度近い気温で雨が降らなかったこの地域では植物が弱っていても散水を禁止されていたそうで、モンペリエという空港のある街では、5万本の植樹を宮脇メソッドで始めるそう。

「行政は市民の声を受けて動く」というアルノーの言葉を聞いて、「あきらめちゃいけない」と想いを新たにしました。

このあたりでは乾燥に強いプラタナスがたくさん植えられていて、材木としても使われています

土よりも岩が多い土地だからか、街にコンクリートは少なく、部屋にはTVもウォシュレットもなく。

部屋にはブノワが自分の和紙に印刷した写真がいくつも。まるで絵画のよう

昨日の帰りが深夜になったからか、風邪をひいたようで今朝はおとなしく昨日買ったポロネギのスープで体をあっためました。

ポロネギのスープは辰巳芳子さんの蒸らし炒めの手法でじっくり火を通して

古いものを大切にする国。スクラップ&ビルドを繰り返す日本の街づくりは一体いつまで続くのか。でも、「絶望しそうなときは、前を向かずに足元を見る」by肥田舜太郎先生。

小さな古都、Albiの街は、修復を繰り返しながら、この景観を維持しています

滞在先のアパルトマンでブノワと研修生のルーシーにうどんとグラタンドフィノワを昼食に出しました

近くの湖で出た完璧な虹に背中を押されて、さあ、今日も行ってきます!

雨も降っていないのに人工湖からぐんぐん伸びて完璧な半円に!虹は「Yes!」のメッセージなのだとか

  2023.11.23