55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

ストーリーテリング・バスに乗ってみた

アイルランドに来たらやりたかったことの一つが、お話を聴くこと。
「妖精の丘が燃えている」「妖精のぬりぐすり」など、えっ? という結末が妙に記憶に刻まれる昔話がアイルランドにはたくさんある。
日本でイメージする妖精とは違って、アイルランドの妖精は妖怪に近い。アイルランド好きが高じてアイリッシュ・パブを東京で営むマスターから借りた『異界の者たちと出遭って:埋もれたアイルランドの妖精話』を読んでその怖さに戦慄した。
そして、やはりアイルランドが好きで足繁く通い、ハープと語りを始めた高畑吉男さんの語りを聴きに行って、歴史譚に登場する女神の烈しさに圧倒された。
河合隼雄さんは、『ケルトを巡る旅ー神話と伝説の地』の中で、日本とアイルランドの昔話には共通点がある、と書いている。
ぜひ本場で妖精話を聴いてみたいなぁと思っていたけれど、日本と同じで、いま昔話を聴ける場はあまりないらしい。

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というわけで、行ってきました、その名も「トラディショナル・アイリッシュストーリーテリング・ツアー」。
https://www.extremeireland.ie/tours.php?tid=14&catid=5

毎日出発する観光客向けのツアーだけれど、外が見えない怪しいバスに乗り込んで、お話を聴いている間に何処かへ連れていかれ、降りたスポットではその場所にまつわるお話を聴いて……というエンターテインメント。

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バスには古いピアノとバーのカウンター(ギネスが飲めるのかと思ったら、そういうサービスはなかった(>_<))、暖炉(もちろん形だけ)があり、雰囲気はたっぷり(バスはすごく揺れるし、雑音も激しいけれど)。語り手は若く、役者さんかなぁと思うくらい表現力豊かにお話を語ってくれて、降りる場所もヴァイキングとの主戦場になった公園や美しい砂浜が広がる海辺で、これで€20は安い!と思った。

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ただ一つ、残念だったのは……私がお話を理解できなかったこと。
観光客向けなのだから、昨日の芝居よりはゆっくり、わかりやすく語ってくれるのでは……?と期待したが甘かった。

娘はすっかりあきらめて気持ちよさそうに舟を漕いでいる。

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時々はわかる。
とくに、海辺で語ってくれたマーメイドの物語。
アイルランドの人魚、merrow (メロウ)は、全身が緑色で赤い帽子を被っていて(?)角が2本生えている。でも、大切な結末がわからない。他のツアー客はアメリカとインドからのお客さんで、笑ったり、ため息をついたりしている。ああ。

でも、最後は酔っぱらいの歌をみんなで歌って、楽しい気分でバスを降りた。
ひと月後、いや、ふた月後にもう一回乗ったら、もう少しわかるかな。
かるといいなあ……。

 

P.S. 今日嬉しかったこと
⒈家の近くのバス停で時刻表を見ながら娘とアレコレ話していたら、「あなたたち、大丈夫?」と声をかけてくれた初老の紳士。奥様と二人、わざわざ足を止めて、「このバスとこのバスはシティセンターに行くよ。このバスはダメ」と教えてくれた。そして笑顔で手を振って去っていく仲睦まじい二人。こういうこと、何度目かだけど、その度に感動する。
⒉結局来るはずのバスは来ず、ツアーの集合時刻に間に合わないのでダート(電車)の駅まで走り、飛び乗ろうとしたらリープカードが作動せず。自動改札を通らずにとにかく乗って、目的地で降りようとしたら、入場記録がないので出られない。不機嫌そうな駅員さんに拙い英語で説明したら、ぶっきらぼうに「Walk it!」と通らせてくれた。え? 運賃、払ってないのに? 駅員さんの脇にはクロスワード・パズル。娘と二人、ラッキー!と駆け抜けたのだった。

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f:id:lifeischallenge:20170717175654j:image (脳みそを使った後は甘いものだ。でも、ちょっと甘過ぎた(>_<) 夕飯は残りもののシチュウとステーキ、そしてファロン&バーンで買ったスモーク・ニジマスのサラダ)