55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

学校3週目終了。クラスメートが帰っていく

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金曜日はちょっと緊張する。クラスメートと別れる日だから。
夏はイタリア、フランス、スペインから高校生がどっとやってくるので、語学学校は大混雑。ほとんどが2週間、3週間の生徒なので、毎週誰かしらがホームタウンに帰っていく。
3週間一緒だったヴィットリア、アリス、エマニュエルに加え、今週一緒になったマリアとフィリピーヌも今日まで。
きちんと御礼が言えるといいなと思って家を出る。

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エマニュエルはイタリア、トリノからの留学生で、クラスで唯一の一人っ子。先生に「どう? 」と聞かれて、“I don't share anything”と答えていた。
ちょっと斜に構えているけれど、一人っ子ならではの伸びやかさがあって、ドラゴンボールとサッカー好きで、ブレイのオックスファムで毎日数時間ボランティアしていて、クラスのムードメーカーでもあった。
初めての授業、「私は誰でしょう?」クイズでジャスティン・ビーバーになったので、私にとってはずっとジャスティン・ビーバー
ひと言ありがとうを伝えたかったけれど、残念、今日はお休みだった。

 

イアン(先生)の授業では、しょっちゅう“Murder”が出てくる。今日は私たちが警官になって、どうしてそこに死体があるのか、殺人か否か、を推理するというもの。
答えを知っているのはイアンで、私たちはYes/Noの質問だけができる。
二つのチームに分かれて、事件も二つ、どちらが先に真実に辿り着くかを競うのだけど、こういうとき、現役の高校生はもの凄くムキになる。とくにアリスは負けず嫌い。次々に質問を繰り出していく。その隙間に私も質問を挟む。

 

私たちの事件は、実際の事件なのかイアンの創作なのかわからないのだけど、カリフォルニアの丘の上で変な服を着た遺体が発見された理由を探るものだった。遺体は女性で、変な服は水着で、遺体の近くには焼けた木があって……と少しずつ事実が明らかになっていく。
答えは、Heatwave(熱波)が続いたカリフォルニアで森林火災が起こり、鎮火するためのレスキュー隊(ヘリコプター)が海の水ごと泳いでいた女性を掬い上げて落とした、というもの。
16歳のマリアは「えっ? それが答え? 本当に??」とショックを受け、子どものように目をまるくしていた。
でも、休み時間にはイアンに「あなたの授業、大好き!」と聖母マリアのような顔。顔だけ見ると本当に年齢がわからない。


2コマ目、ジョンの授業では、カルチャー・ギャップについて話し合う。外国を訪れた時に知って驚いたことについて。
アリスは、「イタリアでは家族みんなが一斉に食卓でごはんを食べるのに、アイルランドはバラバラ。びっくり」なんて言っていた。
私が「挨拶の仕方。フランス人は友人同士が普通に顔を合わせたとき、別れるとき、頬を合わせてチュッと挨拶するけど、日本人は決してしない」と言うと、ジョンも「僕たちもしない。だから顔をどう動かしていいか、力が入っちゃう」と。
イタリアでもスペインでも普通にするそうで、でも、男同士ではしないとか。
だけど、互いの距離を近づけるこの挨拶、素敵だなと思う。

授業が終わって、今日が最後のクラスメートに草加せんべいや舞妓チョコボールをあげて御礼を言うと、とっても喜んでくれた。せんべいは誰にあげても好評だ。
そして、「あの挨拶、してもいい? 」と聞かれ、「もちろん! 」と答えると、頬を合わせてキスしてくれた。

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授業が終わると、松井ゆみ子さんが学校の前で待っていてくれて、一緒にごはんを食べる。近くにあるHaddington Hotelのイタリアンに連れていってもらったら、びっくりするくらい綺麗で美味しかった。
フランス料理のヌーヴェル・キュイジーヌを取り入れた感じで、美しく盛り付けられたひと皿が運ばれる度に感激し、食べるとその味の繊細さにまた感じ入る。

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アイルランドで外食産業が活発になったのはここ十数年のことで、“シェフ”という言葉がポピュラーになったのはここ数年のことらしい。
でも、これまでに入ったレストランはどこも平日でもたくさんの人で賑わっていた。

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友人や家族と美味しい料理を囲むことに勝る幸せはない。
10年間音楽業界にいて、アイルランドで写真を学び、いまはこちらで料理をつくり、レシピを書き、写真を撮り、本をつくる仕事をしている松井さんに、いろいろな話を聞きながら外を見ると、いつにも増して海の色が深かった。

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3週間、あっという間だったな。
無意識に入っていた肩の力がようやく解けてきた気がする。
どこにいても、どこで生まれても、人は人で温かい。

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さあ、明日はU2のLIVEだ。

 

 

 

 

雨の後の海は、なんでこんなに綺麗なんだろう

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朝からシェアメイトのアレクシ(アレクシスではなく、アレクシらしい)は元気がない。
こないだはチョコがけのシリアルにミルクをたっぷりかけて、さらに食パンを2枚、チョコペーストを塗って食べていたのに(フランスの若者たちは多くが毎朝チョコペーストを食べるらしい)、お茶を前にため息をついている。
私たちの風邪が移ったんじゃなければいいなと思いながら尋ねると、暑かったり寒かったりでよく眠れなかったとのこと。結局、お茶とスナックで済ませていた。

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なんとなく家を出るのも一緒になって学校まで一緒に行くと、クラスメートのニッコロにも「ちょっと疲れた」と言っている。ニッコロも「僕も」と。
知らない土地での一人暮らし、料理もできないと言っていたから、疲れもするだろう、と思う。親子で来ている私たちは、「拠りどころ」があるという意味では、ずっと疲れが少ないと思う。
それに食べたいものを自分でつくることもできるし。

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Hometown。
HEATWAVEというバンドの山口洋さんが「最近、Hometownがテーマなんだ」と話していて、その言葉が引っかかっている。
私は山口県で生まれたけれど、Hometown って、大事な人がいる場所のことなんだろうなと思ったりする。その人がたとえいなくなったとしても、心に居てくれさえすれば、自分自身がHometownになれるのかもしれない。
そしたら、Homesick にかからずにどこでも生きていけるのかな……なんて思いをめぐらしていたら、娘がこないだ言っていたことを思い出した。
「かあ(私の呼称)のホームタウンは私(実際には自分の名前)でしょ」
うーん。どちらかと言えば逆にような気がするが、まあ、いいか。
そして、娘のホームタウンは私ではなく、“とう”なのだった(はっきり言いはしないが)。

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親子で留学すると言ったら、友人たちに凄く羨ましがられた。でも、「よく娘さんがいいって言ったね」とも言われた。
私が娘の留学についていくようなイメージなのかもしれないけれど、今回は私の発案。去年の夏にふっと思いついたことに、娘が乗っかった、というのが正しい。

 

クラスでは、初めてマリアと話す。大人びて見えるけどまだ16歳のフランス人。休憩時間に買ってきていたカフェラテを「いい匂い」と言ったら、1個くれた。びっくりして、「何で?」と尋ねると、定員さんが間違って2つくれたのだとか。なんてラッキー。
「一人で留学しているの?」と聞かれ、「娘と一緒だよ」と答えると、凄く羨ましがっていた。「私もママと来たい」と。ホントかな。
今日初めて一緒にグループ・ワークをしたニッコロもマリアも日本のことを尋ねてくれて、とくにニッコロは去年日本に行くことを計画していたみたいで、「センパイって先生のこと?」「“ちゃん”ってナニ?」とか聞いてくれて嬉しかった。

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午前中で授業が終わり、何処かへ出かけるより家でゆっくり勉強でもしたい、と珍しく娘が言うので、ランチだけしに海沿いにある「Fish Shack」というお店に行ってみる。
松井さん(料理研究家)オススメ、フィッシュ&チップスが美味しい人気店らしい。
行くとちょうど入れて、テラス席でエビフライ(パン粉がついているのは珍しい!)とフィッシュ&チップスを注文。どちらも素材が新鮮でタルタルソースが付いていて美味しかった。
隣のテーブルに座った女性が「どこから?」と話しかけてくれて「日本です」と答えると、昔、城崎に行ったことがあるとのこと。屋久島にも行ったそうで、日本は大好きだと言っていた。ずっと前のことらしいが。

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その後、また近くのテーブルに座った女性も、日本に行ったことがある、大好き、と。アメリカ大使館のそばに住んでいて、鳥と木が花よりも好きなのだとか。
二人とも「アイルランドを楽しんでね」と温かい笑顔。こういうところにぐっとくる。

 

テラスでは突然の雨に降られ、「これがアイルランド」と教えてくれる女性と一緒に傘を差しながらやり過ごす。30分もすると雨は止み、また太陽が戻ってきた。
「雨はすべてのものを綺麗にする」と先ほどの女性。

雨に洗われた海は、驚くほど深く透明で、清らかな光を反射していた。

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家に戻って勉強するのかと思いきや、なんのことはない、娘は爆睡。
私もゆっくりして、夜になってごはんをつくる。
そんなにお腹も空いていないので、チキン・ウィング(手羽元と手羽先が両方入ってた)とリーキ(長ねぎ代わり)をシンプルに焼いて、娘はそのまま、私は焼いたものをスープにして(鴨なんばん風に)。

つくっている最中、珍しく家にいるアレクシの部屋をノックして声をかけたら、「大丈夫、でも夕飯はいらない」との返事。でも、焼いただけのと、スープにしたものを両方(娘は、随分おせっかいだね、と言ったけれど)持っていってみたら、受け取ってくれた。よかった。

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遅い夕飯を食べていたら、リンキン・パークのヴォーカリストが亡くなったとのニュースが。ショック。

大きなステージの真ん中に立って、どんなにたくさんのファンに囲まれていても、Hometown は遠かったのかな。

本当のところは誰にもわからないけれど。黙祷。

 

 

雨の後の海は、なんでこんなに綺麗なんだろう

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朝からシェアメイトのアレクシ(アレクシスではなく、アレクシらしい)は元気がない。
こないだはチョコがけのシリアルにミルクをたっぷりかけて、さらに食パンを2枚、チョコペーストを塗って食べていたのに(フランスの若者たちは多くが毎朝チョコペーストを食べるらしい)、お茶を前にため息をついている。
私たちの風邪が移ったんじゃなければいいなと思いながら尋ねると、暑かったり寒かったりでよく眠れなかったとのこと。結局、お茶とスナックで済ませていた。

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なんとなく家を出るのも一緒になって学校まで一緒に行くと、クラスメートのニッコロにも「ちょっと疲れた」と言っている。ニッコロも「僕も」と。
知らない土地での一人暮らし、料理もできないと言っていたから、疲れもするだろう、と思う。親子で来ている私たちは、「拠りどころ」があるという意味では、ずっと疲れが少ないと思う。
それに食べたいものを自分でつくることもできるし。

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Hometown。
HEATWAVEというバンドの山口洋さんが「最近、Hometownがテーマなんだ」と話していて、その言葉が引っかかっている。
私は山口県で生まれたけれど、Hometown って、大事な人がいる場所のことなんだろうなと思ったりする。その人がたとえいなくなったとしても、心に居てくれさえすれば、自分自身がHometownになれるのかもしれない。
そしたら、Homesick にかからずにどこでも生きていけるのかな……なんて思いをめぐらしていたら、娘がこないだ言っていたことを思い出した。
「かあ(私の呼称)のホームタウンは私(実際には自分の名前)でしょ」
うーん。どちらかと言えば逆にような気がするが、まあ、いいか。
そして、娘のホームタウンは私ではなく、“とう”なのだった(はっきり言いはしないが)。

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親子で留学すると言ったら、友人たちに凄く羨ましがられた。でも、「よく娘さんがいいって言ったね」とも言われた。
私が娘の留学についていくようなイメージなのかもしれないけれど、今回は私の発案。去年の夏にふっと思いついたことに、娘が乗っかった、というのが正しい。

 

クラスでは、初めてマリアと話す。大人びて見えるけどまだ16歳のフランス人。休憩時間に買ってきていたカフェラテを「いい匂い」と言ったら、1個くれた。びっくりして、「何で?」と尋ねると、定員さんが間違って2つくれたのだとか。なんてラッキー。
「一人で留学しているの?」と聞かれ、「娘と一緒だよ」と答えると、凄く羨ましがっていた。「私もママと来たい」と。ホントかな。
今日初めて一緒にグループ・ワークをしたニッコロもマリアも日本のことを尋ねてくれて、とくにニッコロは去年日本に行くことを計画していたみたいで、「センパイって先生のこと?」「“ちゃん”ってナニ?」とか聞いてくれて嬉しかった。

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午前中で授業が終わり、何処かへ出かけるより家でゆっくり勉強でもしたい、と珍しく娘が言うので、ランチだけしに海沿いにある「Fish Shack」というお店に行ってみる。
松井さん(料理研究家)オススメ、フィッシュ&チップスが美味しい人気店らしい。
行くとちょうど入れて、テラス席でエビフライ(パン粉がついているのは珍しい!)とフィッシュ&チップスを注文。どちらも素材が新鮮でタルタルソースが付いていて美味しかった。
隣のテーブルに座った女性が「どこから?」と話しかけてくれて「日本です」と答えると、昔、城崎に行ったことがあるとのこと。屋久島にも行ったそうで、日本は大好きだと言っていた。ずっと前のことらしいが。

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その後、また近くのテーブルに座った女性も、日本に行ったことがある、大好き、と。アメリカ大使館のそばに住んでいて、鳥と木が花よりも好きなのだとか。
二人とも「アイルランドを楽しんでね」と温かい笑顔。こういうところにぐっとくる。

 

テラスでは突然の雨に降られ、「これがアイルランド」と教えてくれる女性と一緒に傘を差しながらやり過ごす。30分もすると雨は止み、また太陽が戻ってきた。
「雨はすべてのものを綺麗にする」と先ほどの女性。

雨に洗われた海は、驚くほど深く透明で、清らかな光を反射していた。

 

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家に戻って勉強するのかと思いきや、なんのことはない、娘は爆睡。
私もゆっくりして、夜になってごはんをつくる。
そんなにお腹も空いていないので、チキン・ウィング(手羽元と手羽先が両方入ってた)とリーキ(長ねぎ代わり)をシンプルに焼いて、娘はそのまま、私は焼いたものをスープにして(鴨なんばん風に)。

つくっている最中、珍しく家にいるアレクシの部屋をノックして声をかけたら、「大丈夫、でも夕飯はいらない」との返事。でも、焼いただけのと、スープにしたものを両方(娘は、随分おせっかいだね、と言ったけれど)持っていってみたら、受け取ってくれた。よかった。

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遅い夕飯を食べていたら、リンキン・パークのヴォーカリストが亡くなったとのニュースが。ショック。

大きなステージの真ん中に立って、どんなにたくさんのファンに囲まれていても、Hometown は遠かったのかな。

本当のところは誰にもわからないけれど。黙祷。

 

 

今日は二つ、いいことがあった

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昨日の晴天とはうって変わって、今日は朝から雨模様。こしばらくお天気続きだったから、久しぶりの雨は心を宥めてくれたりもする。


ここしばらく考えていたこと。それは、クラスを変えてもらうこと。オンライン・テストを妙に頑張ってしまったせいで入れられてしまったクラスは、とにかくスピードについていけない。クラスメートにも申し訳ないし、自分のためにもあんまり良くないので、今日の放課後、クラス変更を申し出ようと決めて家を出る。

出てみると、雨はほとんど止んでいた。ダン・レアリーの天気は気まぐれ。一日中雨に降られたことはなく、大抵夕方には止んで青空が見えたりする。

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クラスに行くと、ちょっと変わった授業が待っていた。
100年前といま、ほとんど同じアングルで撮られた対のダブリンの写真を片方ずつ配られて、互いに見せ合うことなく、クラスの中で片割れを探し、違いを説明し合うというもの。
こういうのは苦手じゃない。英語がボロボロでも、伝え合うことさえできればいいのだから。

100年前のダブリンは、たくさん馬車が走ってはいたけれど、街並みは驚くほど変わっていなかった。これが東京だったら、もっと凄い変化だろう。


その後は、ディベート。100年前といまに分かれて、こっちのほうがいいでしょ!と主張する。
いまのほうが圧倒的に有利。100年前を語るには想像力が必要。でも、私は年の功、ダブリンのことはあんまり知らなくても、昔の生活の良さは語れる。
英語はメチャクチャながら、一生懸命話していたら、「イタリア人よりも手が動く」と言われた。イタリア人のクラスメートから。
なぜだか、ちょっと嬉しかった。

次の授業もそんなにハードルが高くなくて、今日はこれまででいちばんストレスを感じなかった! そして、少し楽しかった。
クラス替えのリクエストはもう少し様子をみることにして、弾んだ気持ちで学校を出る。

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ちょっと本屋さんを覗いて、夕飯は、明日で最後の授業になるイサベルと。
イサベルは同じタイミングで入学したスペインからの留学生で、歳はたぶん私より上。娘と同じクラスで、スペイン訛りの英語は聴き取りにくいけれど、物凄く勉強熱心で、クラスはもちろんのこと、しょっちゅう図書館に行っては勉強している。
一度ゆっくり話がしたいなぁと思っていたら、彼女が帰る日が近づいてきて、昨日あわててアポを取ったのだった。

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夕方6時にピープルズ・パークという公園の噴水のところで待ち合わせて、彼女オススメのレストランへ。「トスカーナ」というイタリアン・レストランで、雰囲気もよく、とっても美味しかった。
はっきりとは聴き取れなかったけれど、イサベルは長くレストランで働いてきて、ある日突然もう来なくていいよ、と言われたらしい。
彼女と話していると陽気な表情の隙間に時折哀しみが入り込んで切なくなる。
でも、もう十分働いたから、これからは勉強したいと言っていた。大学では歴史を学んだそうで、文学も好きだとか。一昨年ノルウェーを訪ねたと言ったら、ノルウェーの作家を教えてくれた。
音楽ではなんとメタリカが好きだとか。レッド・ツェッペリンローリング・ストーンズは? と私が聞いたら、「もちろん! 」と。ザ・スミスは知らないようだったけど。
「日本に来る予定は?」と聞くと、「Too far for me」という返事。
やっとメアドを交換したので、連絡を取り合うことを約束して、家の前で別れる。
彼女のステイ先は意外とうちと近かった。
こういうことって、ギリギリになって気づくんだな。
でも、誘って、一緒にごはんを食べられて、本当によかった。

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いつかまた会えたらいいな。

バルセロナか日本のどこかで。

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Howthという町で、鮪と海老とイカとサーモンを買う

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朝から頭が重く、休んじゃおうか、とも思いつつ、ひと部屋しかない家にいても腐る、と思い直し、学校へ。今日はお隣の建物にあるブリッジ・ルームを借りての授業。この時期、イタリア、スペイン、フランスから大勢の生徒がやってくるので、部屋が足りないらしい。
よほど大きい学校以外、夏はどの学校でもそんな感じらしく、落ち着いて勉強したいなら、夏は避けたほうがいいというのは本当みたいだ。とはいえ、花々は咲き乱れ、空は青く、風は爽やかで、緑鮮やかなこの季節は、Brilliantそのものなのだけれど。

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午前中で授業が終わり、気分も良くなってきたので、ダートに乗ってダブリンの北にあるHowthという海沿いの町に行ってみることに。市場では旬のシーフードが売っているらしい。お昼はそこで食べることにして、電車に乗る前にテディズ・アイスを少々。
ここでは老若男女、犬もアイスクリームが大好き。がっしりした海の男っぽい人がひとりでソフトクリームを頬張っている様子はなんともいい感じ。

 

ダートはダブリンを中心に北はHowthかMalahide、南はBrayという町まで南北に走る電車で、その間は1時間くらい。海沿いをゆっくり走り、座席も向かい合わせで、昔の汽車みたいな風情。ついのんびりしてしまう。
今日は終点だからとさらにのんびりしてしまい、娘も私も爆睡。爽やかな笑顔の乗客に起こされて、あわてて電車を降りたのだった。

Howthは、とにかく鳥がたくさん飛んでいて、歩いている人はフィッシュチップスを片手に持っていて、テラスで飲んでいる人の前にはシーフード料理が山のように置かれている見晴らしのいい漁港だった。

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レストランはどこも美味しそうだけど、座ると高そうなので、テイクアウトにすることに。フィッシュ&チップスだけじゃなく、カラマリ(イカ)やスカンピ(海老)、クラブ(カニ)のバーガーなんていうのもある。迷った末に、スカンピ&チップスを注文。€12で凄いボリューム。嬉しい。

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海のほうまで歩いて石塀を上ると海が一望。ヨットやボートや大きめの船も浮いている。釣り糸を垂らしている人も。
カモメは魚やみんなが食べているものを狙って低く旋回。日本では見たことがない鳥が近寄ってきてこちらをじーっと伺う。
ほんのちょっと投げてあげたら、次々に集まってきた。

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 1時間くらい昼寝して、帰りに小さな魚屋さんが軒を連ねる市場に寄る。アイルランドに来て以来、こんなにシーフードが揃っているのを見たのは初めて。カレイもヒラメもイワシもアンコウみたいな魚もいた。
いろいろ迷う私たちに嫌な顔一つしない従業員の女性もすごく感じいい。鮪と海老とイカとサーモンを買って€25。安い。俄然元気が出てくる。

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シェアメイトのアレクシスにメッセージしたら、今日の夕飯はノープランだというので、鮪丼を一緒に食べることに。
サーモンは今度バター醤油ソテーに、イカはパスタに、海老はもちろん海老天にしよう。
思い切って日本から抱えてきた米を洗って炊いたら、火加減が難しいのと鍋の形状がイマイチなのとで、合わせ酢に砂糖を入れすぎたのとで、期待した酢めしにはならなかった。残念。

AC/DC好きなアレクシスにONE OK ROCKを聞かせながら、なんちゃって鮪丼を食べる。アボカドも買ってきたけど固すぎて載せられず。微妙に水っぽい鮪はそんなには食べられない。アレクシスもちょっと残していた。
フランスでは寿司以外、生の魚は決して食べないのだとか。言いかえれば、日本の寿司はそのくらい世界を席巻している。凄いな。
この次はもっと美味しい酢めしをつくって、アボカドも熟すまで待って、リベンジしよう。

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(お洒落なHowthの駅)

 

 

風邪っぴき。鍋焼きうどんが食べたーい!

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朝から体調が悪い。娘の風邪がうつったようで、土曜日から咳が出始めた。昨日はツアーがあるし、持ってきた漢方薬「板藍根(ばんらんこん)」でなんとか凌いだが、今日はダメ。
鼻水がタラタラ滴って、咳も出て、頭も重い。
もっと持ってくればよかったな、「板藍根」。でも、仕方ない。

 

月曜日はクラスがリニューアルする日。
イタリアのティーンエイジャーたちが去った我がクラスには、もう一つのクラスが吸収合併された模様。シェアメイトのフランス人、アレクシスの顔もある。全体的に年齢層が少し上がって、落ち着いた空気に。
そして、1週間私たちのクラスを持たなかったジョンも帰ってきて私はハッピー。
ジョンは生粋のアイリッシュで、車を2回も盗まれたり、雄山羊に衝突されたり、親に結婚はまだかといつも迫られていたり、小さい頃はABBAみたいなパンタロンをはかされていたり、と自虐的な話に事欠かない、陽気でナイーヴなナイス・ガイ。
授業中しょっちゅうトイレに行くのをイタリアのティーンエイジャーは冷ややかに見ていたので、彼もホッとして戻ってきたのだろう。
何にしても、私はジョンの授業が好きだ。

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2250年に開けるスーツケースに何を詰める? というテーマでの話し合いでは、私たちのチームは⒈ビニール・レコード(クラシック、U2AC/DC)⒉楽器(ヴァイオリン、ギター)⒊さまざまな植物の種子 ⒋人類のDNA、⒌アイリッシュ・ウィスキー ⒍歴史の本 ⒎風景や人の写真etc.で意見が一致。ジョンも大賛成、と言っていた。

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ここダン・レアリーにも真夏は来るようで、朝から雲一つない青空で、夕方になってもこれまでにない陽気だった。
でも、私の風邪はどんどん酷くなっていく。
いつものテディ・アイスクリームを豪華にフルーツボートにしてみたものの、ああ、こんな時に食べたいものはただ一つ、鍋焼きうどんだ。
SUPER VALUEで茹でうどんとリーキ、ほうれん草を買い、蒲鉾や油揚げや海老天がないのを残念に思いながら家に帰る。
ヒガシマルの「うどんスープ」も、にんべんのつゆの素も貴重だし、風邪のときはやっぱり本物の出汁よね、と、持ってきた高級出汁パックで初めて出汁をひくことにする。
ところが……。
いくら待っても、全然出汁がひけない。鰹節の香りはするけれど、旨味がお湯に沁み渡っていかないのだ。これって、硬水だから??

結局にんべんのつゆの素を追加して、塩と酒と醤油で味を調え、地味なうどんの出来上がり。

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次は海老のかき揚げもつくろうと思っていたのに、鰹節も昆布も持ってきたのに、本物の出汁はひけないということ?

 

「よわっ。地球のどこでも生きていける人になんてなれないね」と冷たく言い放つ娘。
あーあ、美味しい鍋焼きうどんが食べたーい!

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ストーリーテリング・バスに乗ってみた

アイルランドに来たらやりたかったことの一つが、お話を聴くこと。
「妖精の丘が燃えている」「妖精のぬりぐすり」など、えっ? という結末が妙に記憶に刻まれる昔話がアイルランドにはたくさんある。
日本でイメージする妖精とは違って、アイルランドの妖精は妖怪に近い。アイルランド好きが高じてアイリッシュ・パブを東京で営むマスターから借りた『異界の者たちと出遭って:埋もれたアイルランドの妖精話』を読んでその怖さに戦慄した。
そして、やはりアイルランドが好きで足繁く通い、ハープと語りを始めた高畑吉男さんの語りを聴きに行って、歴史譚に登場する女神の烈しさに圧倒された。
河合隼雄さんは、『ケルトを巡る旅ー神話と伝説の地』の中で、日本とアイルランドの昔話には共通点がある、と書いている。
ぜひ本場で妖精話を聴いてみたいなぁと思っていたけれど、日本と同じで、いま昔話を聴ける場はあまりないらしい。

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というわけで、行ってきました、その名も「トラディショナル・アイリッシュストーリーテリング・ツアー」。
https://www.extremeireland.ie/tours.php?tid=14&catid=5

毎日出発する観光客向けのツアーだけれど、外が見えない怪しいバスに乗り込んで、お話を聴いている間に何処かへ連れていかれ、降りたスポットではその場所にまつわるお話を聴いて……というエンターテインメント。

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バスには古いピアノとバーのカウンター(ギネスが飲めるのかと思ったら、そういうサービスはなかった(>_<))、暖炉(もちろん形だけ)があり、雰囲気はたっぷり(バスはすごく揺れるし、雑音も激しいけれど)。語り手は若く、役者さんかなぁと思うくらい表現力豊かにお話を語ってくれて、降りる場所もヴァイキングとの主戦場になった公園や美しい砂浜が広がる海辺で、これで€20は安い!と思った。

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ただ一つ、残念だったのは……私がお話を理解できなかったこと。
観光客向けなのだから、昨日の芝居よりはゆっくり、わかりやすく語ってくれるのでは……?と期待したが甘かった。

娘はすっかりあきらめて気持ちよさそうに舟を漕いでいる。

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時々はわかる。
とくに、海辺で語ってくれたマーメイドの物語。
アイルランドの人魚、merrow (メロウ)は、全身が緑色で赤い帽子を被っていて(?)角が2本生えている。でも、大切な結末がわからない。他のツアー客はアメリカとインドからのお客さんで、笑ったり、ため息をついたりしている。ああ。

でも、最後は酔っぱらいの歌をみんなで歌って、楽しい気分でバスを降りた。
ひと月後、いや、ふた月後にもう一回乗ったら、もう少しわかるかな。
かるといいなあ……。

 

P.S. 今日嬉しかったこと
⒈家の近くのバス停で時刻表を見ながら娘とアレコレ話していたら、「あなたたち、大丈夫?」と声をかけてくれた初老の紳士。奥様と二人、わざわざ足を止めて、「このバスとこのバスはシティセンターに行くよ。このバスはダメ」と教えてくれた。そして笑顔で手を振って去っていく仲睦まじい二人。こういうこと、何度目かだけど、その度に感動する。
⒉結局来るはずのバスは来ず、ツアーの集合時刻に間に合わないのでダート(電車)の駅まで走り、飛び乗ろうとしたらリープカードが作動せず。自動改札を通らずにとにかく乗って、目的地で降りようとしたら、入場記録がないので出られない。不機嫌そうな駅員さんに拙い英語で説明したら、ぶっきらぼうに「Walk it!」と通らせてくれた。え? 運賃、払ってないのに? 駅員さんの脇にはクロスワード・パズル。娘と二人、ラッキー!と駆け抜けたのだった。

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f:id:lifeischallenge:20170717175654j:image (脳みそを使った後は甘いものだ。でも、ちょっと甘過ぎた(>_<) 夕飯は残りもののシチュウとステーキ、そしてファロン&バーンで買ったスモーク・ニジマスのサラダ)