55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

ショッピングと米と石畳

日本から来ている友人のこと。
あの厳しい入国審査で、「(アイルランドに)何しに来たんだ?」と聞かれ、「U2のコンサートを観に」と答えたら、ものの2秒でパスしたそうだ。
30年近いブランクを経てfbで再会、このところ一緒にコンサートに行く機会が増えた友人は、ギターとサッカーと鉄道が好き。U2と会社の休暇、私がこちらに来ていることも重なって、初めてアイルランドを訪れることになったのだ。

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U2を観る以外に彼に託された使命は、米を運ぶこと。
決して頼み込んだわけじゃなく、このブログを読んで哀れに思い、米とその他もろもろを持ってきてくれたのだ。

 

今日はスーツケース片手に、ありがたくそれをいただきにダブリン市内へ。
「テンプル・バー」で待ち合わせると、巨大なトートバッグに米が5㎏(!)。
加えて、茶筅、茶托、梅昆布茶、お多福ソース、紅生姜、とろろ昆布、胡麻きびなご、菜箸、爪楊枝……。痒いところに手が届く、いや届き過ぎるラインナップ。親切が服着て歩いている人だとは思っていたけど、まさか、ここまでとは……。

とにかく空のスーツケースにいただいた食材を詰めさせていただく。持つよ、とは言ってくれるものの、米のせいで重量ギリギリ、30kgのスーツケースを運んできた彼に、これ以上持たせるわけにはいかない。

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その後、大勢の友人たちにお土産を買わなければいけない彼につき合い、珍しくショッピングへ。女性たちにはAVOCAの綺麗な色のストールとかいいんじゃない? と案内し、その後、ほとんどのアイルランド製品が揃うキルケニー・ショップへ。
青山通りを歩く人みたいに、綺麗な色のショッピング・バッグが次々に彼の肩にかけられていく。
自分は買わなくても、自分が好きなものを見るショッピングは楽しい。アイルランドの織物は見たり触ったりするだけで満たされるものがある。

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私は必需品の靴下とリップクリーム、娘にせがまれてバトラーズのベリーチョコを買った。

それにしても、スーツケースにとってダブリンの街は強敵だ。石畳にキャスターがボロボロにされたという話も聞いていたので、慎重に持ち運ぶ。
クレア・ストリートのバス停近くで買った重量感のあるパンも入っているスーツケースは、およそショッピングにはふさわしくない。

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夜は松井ゆみ子さん(料理研究家)のパートナー、マークに初めて会って、みんなでごはん。
“Thank you, thank you” 、“Sorry, sorry”と言葉を繰り返し、しかもゆっくり喋ってくれるマークの英語は聞き取りやすく、友人ともいきなりサッカーの話で打ち解けていた。
チップスを食べるのに、やはりチップス好きの娘のことを気にしてくれたり、デザートで注文と違うアイスクリームが載っていたらすかさず引き受けてくれたり、親切であたたかくて大らか。
松井さんとの出会いを聞いたら、「う〜ん……ロング・ロング・ストーリー」と照れた顔で言葉を濁す。
大学(トリニティ・カレッジ)では政治と経済を学んでいたそうで、松井さんが言うには、マークの家族はそういう話題でしょっちゅうディスカッションしているそうだ。
「政治は大事。一人一人が政治のことを考えることが」と言う真剣な顔に、この国の歴史が少しだけ覗いた気がした。

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美味しい地ビールと食事をいただいて、バスで帰宅。家に着くと、ヘトヘト。
改めてスーツケースを開けて、その充実ぶりと重さに感じ入りながら、気がついたらベッドで爆睡していた。

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