55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

学校3週目終了。クラスメートが帰っていく

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金曜日はちょっと緊張する。クラスメートと別れる日だから。
夏はイタリア、フランス、スペインから高校生がどっとやってくるので、語学学校は大混雑。ほとんどが2週間、3週間の生徒なので、毎週誰かしらがホームタウンに帰っていく。
3週間一緒だったヴィットリア、アリス、エマニュエルに加え、今週一緒になったマリアとフィリピーヌも今日まで。
きちんと御礼が言えるといいなと思って家を出る。

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エマニュエルはイタリア、トリノからの留学生で、クラスで唯一の一人っ子。先生に「どう? 」と聞かれて、“I don't share anything”と答えていた。
ちょっと斜に構えているけれど、一人っ子ならではの伸びやかさがあって、ドラゴンボールとサッカー好きで、ブレイのオックスファムで毎日数時間ボランティアしていて、クラスのムードメーカーでもあった。
初めての授業、「私は誰でしょう?」クイズでジャスティン・ビーバーになったので、私にとってはずっとジャスティン・ビーバー
ひと言ありがとうを伝えたかったけれど、残念、今日はお休みだった。

 

イアン(先生)の授業では、しょっちゅう“Murder”が出てくる。今日は私たちが警官になって、どうしてそこに死体があるのか、殺人か否か、を推理するというもの。
答えを知っているのはイアンで、私たちはYes/Noの質問だけができる。
二つのチームに分かれて、事件も二つ、どちらが先に真実に辿り着くかを競うのだけど、こういうとき、現役の高校生はもの凄くムキになる。とくにアリスは負けず嫌い。次々に質問を繰り出していく。その隙間に私も質問を挟む。

 

私たちの事件は、実際の事件なのかイアンの創作なのかわからないのだけど、カリフォルニアの丘の上で変な服を着た遺体が発見された理由を探るものだった。遺体は女性で、変な服は水着で、遺体の近くには焼けた木があって……と少しずつ事実が明らかになっていく。
答えは、Heatwave(熱波)が続いたカリフォルニアで森林火災が起こり、鎮火するためのレスキュー隊(ヘリコプター)が海の水ごと泳いでいた女性を掬い上げて落とした、というもの。
16歳のマリアは「えっ? それが答え? 本当に??」とショックを受け、子どものように目をまるくしていた。
でも、休み時間にはイアンに「あなたの授業、大好き!」と聖母マリアのような顔。顔だけ見ると本当に年齢がわからない。


2コマ目、ジョンの授業では、カルチャー・ギャップについて話し合う。外国を訪れた時に知って驚いたことについて。
アリスは、「イタリアでは家族みんなが一斉に食卓でごはんを食べるのに、アイルランドはバラバラ。びっくり」なんて言っていた。
私が「挨拶の仕方。フランス人は友人同士が普通に顔を合わせたとき、別れるとき、頬を合わせてチュッと挨拶するけど、日本人は決してしない」と言うと、ジョンも「僕たちもしない。だから顔をどう動かしていいか、力が入っちゃう」と。
イタリアでもスペインでも普通にするそうで、でも、男同士ではしないとか。
だけど、互いの距離を近づけるこの挨拶、素敵だなと思う。

授業が終わって、今日が最後のクラスメートに草加せんべいや舞妓チョコボールをあげて御礼を言うと、とっても喜んでくれた。せんべいは誰にあげても好評だ。
そして、「あの挨拶、してもいい? 」と聞かれ、「もちろん! 」と答えると、頬を合わせてキスしてくれた。

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授業が終わると、松井ゆみ子さんが学校の前で待っていてくれて、一緒にごはんを食べる。近くにあるHaddington Hotelのイタリアンに連れていってもらったら、びっくりするくらい綺麗で美味しかった。
フランス料理のヌーヴェル・キュイジーヌを取り入れた感じで、美しく盛り付けられたひと皿が運ばれる度に感激し、食べるとその味の繊細さにまた感じ入る。

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アイルランドで外食産業が活発になったのはここ十数年のことで、“シェフ”という言葉がポピュラーになったのはここ数年のことらしい。
でも、これまでに入ったレストランはどこも平日でもたくさんの人で賑わっていた。

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友人や家族と美味しい料理を囲むことに勝る幸せはない。
10年間音楽業界にいて、アイルランドで写真を学び、いまはこちらで料理をつくり、レシピを書き、写真を撮り、本をつくる仕事をしている松井さんに、いろいろな話を聞きながら外を見ると、いつにも増して海の色が深かった。

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3週間、あっという間だったな。
無意識に入っていた肩の力がようやく解けてきた気がする。
どこにいても、どこで生まれても、人は人で温かい。

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さあ、明日はU2のLIVEだ。