55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

7km続く崖の道。クリフウォークを歩く、歩く

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さて、日本で予約した公演(リヴァーダンス、U2)は観てしまったし、それぞれ一緒に行った友人たちも帰って、今日から普通の日々。
少し外食し過ぎたから、しばらくは自炊の日々を送らなくちゃ、と冷凍庫のイカを冷蔵庫に移して家を出る。

 

4週目、誰よりもクラスに長くいる私だけれど、喋るのはやっぱり苦手。隣の人と話して、と言われると、ハーッとため息が出てしまう。
今日のジョンの授業は「犯罪と裁判に関わること」で、聞いたこともないような単語が次々に。現役高校生のフィリッポ(18歳)も、シェアメイトでもあるアレクシ(23歳)も、単語を知っているだけでなく、どんどん喋るので、私が入るとテンポが狂う。
そのうち諦めたように二人で喋りだしたので、私は脱落を決め込んで単語の意味を一つ一つ確認していく。
英語って、100万語あるらしい。で、裁判官とか弁護士、医者、科学者、作家などスペシャリストを除くと、実際にはその1%しか使わないで生活しているとか。
1%といっても1万語。大学受験で目指すのはそこなのか、と改めて思う。
一方、キャロライン(先生)の授業は、句動詞(phrasal verb)で、turn out とかget alongとか簡単な動詞と助詞(?)の組み合わせの意味を学ぶ。これがまた推測が難しい。

 

今週入ってきたエリカとジュリアは、優秀で勝気なイタリアン・ガール。びっくりするくらい言葉を知っていて、二人とも早口でよく喋る(ともに17歳)。
エリカはべジタリアンで、5年前のある日、たまたまビデオを観て肉を食べるのを止めたそうだ。動物たちには意識も感受性もあって、食べられるために生きているわけじゃない、と。
5年前といえば12歳。凄い感性と意志の力だ。

 

午後は久しぶりに学校主催の遠足に参加。
ドッグ・レース、ボウリングに続いて、サリーが引率してくれる。加えて、イタリアから2ヶ月臨時スタッフとして来ているニコラスも。
エリカも友達2人を誘って参加していて、私と娘を合わせて生徒は5人。計7人でブレイからグレイストーンまでの“Cliff Walk”に出発。

 

それにしても、“Cliff Walk”って何なのだろう。ボウリングのとき、サリーが勧めてくれたから申し込んだものの、海沿いの崖(!)7kmを2.5時間かけて歩くイメージが全然持てない。アスリートである必要はない、という言葉に頼って参加したものの、若干の不安がよぎりながらサンディコーヴからブレイまで電車に乗る。

ブレイの街は、前に来た時とは全然違っていて、移動式遊園地のアトラクションが、ダン・レアリーとは比べ物にならないくらいたくさん、シーサイドを埋め尽くしていた。

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「アレ乗りたい!」と騒ぐ娘をなだめながら、サリーとニコラスがどんどん先を行くので、必死でついていく。
フィッシュ&チップスやアイスクリームもガマンガマン。しばらくはトイレがないというので、みんな公衆トイレに行って、いよいよスタート。

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降りかけた雨も止み、綺麗に晴れ渡った空を移して海の色はエメラルドグリーンからネイビーまでグラデーションで光り輝き、海鳥がその間を旋回している。

崖線は歩けるように整備されていて、起伏はあるもののなだらかで、歩くほどに海と空と崖と線路と野生の花々の壮大なパノラマが出現する。

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モハーの断崖に一緒に行ったアンジェラは別の予定があったのだけど、そちらは雨で中止になった模様。一緒に来られればよかったね、見せてあげたかったね、と娘と二人で悔しがる。
まあ、お金もかからないし、お天気のいい日にまた来ればいいのだけれど。

 

脚の長さがまるで違う私たちは、何度もみんなの足を引っ張りながら、なんとかついていく。私と二人こんな道を歩くには、しりとりでもやらないと耐えられない、と娘が言うので、英語しりとりをやりながら歩く、歩く。

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眼に映る景色はどんどん変わり、崖に張り付くように咲いている濃いピンクのヒースの花やワタスゲ(?)、風に舞う大きなタンポポの綿毛、波打つ黄金の草など、アイルランドならではの風景は、とても写真に収めきれない。

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そのうちグレイストーンの海岸に出て、みんなで記念撮影。
詳しいことを知らずにエリカについてきたらしいイタリアン・ガール(最初サリーに「どのくらい歩くの?」と尋ね、7kmと聞いてショックを受けていた)は、革の編み上げブーツの底が外れてパカパカしていた(>_<)

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歩いたあとはもちろんアイスクリーム。
ニコラスが教えてくれて空を見ると、太陽を縁取る雲が虹色に光っていた。

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家に帰って、イカとブロッコリーとトマトのパスタをつくり、ワインを開けて、グラタン・ド・フィノワとともに夕ごはん。
「このパスタ、超美味しい!」と娘。「食べてしまうのが惜しいくらい」と。
そういえば、昔初めて両国の焼肉屋でイベリコ豚を食べたとき、帰りの電車の中でもずっと何かを噛んでいるので尋ねたら「イベリコ。飲み込むのがもったいない」と言っていたな。

ベジタリアンにはとてもなれそうにない娘と、サウジアラビアやコロンビア、クラスメートの生まれた国のことを調べたり、話したりしながら、夜が更けていった。

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