55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

日本に帰ってきた!〜最後まで、走り続ける私たち〜

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10月4日。

夜通し荷物のパッキングとブログ書きに費やし、寝たのが3時過ぎ、起床は6時。7時15分にチェックアウトして、空港に着いたら7時40分。
ここまではなんとか順調だった。フィンエアーの手荷物カウンターに行くと長蛇の列。ツアー客が30人以上並んでいた。カウンターは1つ。当然時間がかかるわけで、私たちの後ろにできた列の人たちもため息をついている。出発は10時25分、搭乗が9時55分。最後にアイリッシュウィスキーを買おうと思っていたのに、時間がどんどん失くなっていく。


ようやく順番が回ってきたのが8時40分。

帰りの荷物は二人でスーツケース(大)3個、スーツケース(小)1個、バックパック1個、ボストンバッグ1個、大きな紙袋1個、リュックとショルダーバッグ。つまり、来た時よりも2個増えている。
一人2個まで預けられるからスーツケース4個を渡そうとしたら、「他の荷物は預けないの?」とカウンターの担当者。「妙に多いけど」


ちなみに、預けるとしたら幾ら?と尋ねると「€75くらいかしら」。
そんな出費はノーサンキュー。機内持ち込みは、原則各自1個ずつ。でも、免税店で買ったお土産をたくさん抱えて乗る人もいるよね……と、「これはいわゆるハンドバッグで、この紙袋はお土産で……」とごまかしながら、スーツケース4個だけ預けようとしたら、いきなり重量オーバー。
買ったばかりのスーツケースがなんと26kg。いったん引き上げて中の荷物を引っ張り出す。


後ろで待っているお客さんは相当イライラしているだろうなぁ……と申し訳なくて、とりあえず手に触ったジャムの瓶2個と小さなお酒のボトル3個、BOSEのスピーカーを引っ張り出す。
測り直すと24kg。本当は最大23kgなのに大目に見てくれたのか、なんとかベルトの上を飲み込まれていった。
担当者は大きな紙袋がよほど気になったのか、何かブツブツ言っていたけれど、ここは気にせず先を急ぐ。

 

ところが手荷物検査でまた引っかかる。まずバックパック。水筒にお茶を入れたままだったので「捨ててもいいか?と」聞かれ、もちろんOK。
そして例の紙袋。ジャムの瓶2個が「大き過ぎる」。泣く泣く廃棄を了承。こんなことなら、食べておけばよかったね、と娘。


そうこうしているうちに9時15分。
カードにまとまっている免税払い戻しセルフサービス・カウンターがまた混んでいて、30分は待った。こんな複雑な手続きのカウンターが、なんで1つしかないんだろう。
その隣で手書きでやることもできることに気づいたのは、面倒な手続きを全て終了した後だった。
既に時計は9時50分。搭乗時間ギリギリ。でも、ウィスキーだけは買わなくちゃ。

 

結局、選ぶ時間がないなかウィスキーやチョコレート、ポテチの大袋など、かさばるものを山ほど買って搭乗口に走り込んだら、出発時刻の5分前。
その時のCAさんの怒った顔といったら。
「荷物が多過ぎる! もう買わないで、ってあの時言ったでしょ!」
見ると、手荷物カウンターにいた女性だった。

ああ、それを言っていたんですね。ごめんなさい。
“Sorry! Sorry!”とひたすら繰り返しながら機内に乗り込むと、CAのチーフみたいな女性が“No problem”と言ってくれて地獄に仏。

荷物を減らそうと着込んだダウンにアランセーターから汗がポタポタとこぼれ落ち、胃がよじれるように痛かった。

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乗り換えのヘルシンキ空港では、珍しく搭乗時刻ぴったりにゲートに入ろうとしたら、「これは違う飛行機よ」。

またまた空港内を走る私たち。預けていない手荷物が石のよう。

と、その時、知っている顔が目の前に。
夫が「帰国日が同じらしいよ」と言っていた、リトアニアの服を扱っているアグレアブル・ミュゼのいしださん。本当に空港で会えるとは。

私たちが間違えた東京行きの便に乗るとのことで、「まあ、間違えたおかげで会えたんだね」と娘と言いながら、走る、走る。

 

機内で映画を観た。

話題だったのに観ていなかった『湯を沸かすほどの熱い愛』。

母と娘という関係を軸に、末期がんに侵されたシングル・マザーを宮沢りえ、いじめに遭っている娘を杉咲花が演じて、とてもよかった。

人間のバカさ、哀しさ、優しさ、儚さ、強さを、時にコミカルにしみじみ描きながら、「どうしようもならないこと」にどう向き合うか、を考えさせる。

 

この映画を、このタイミングで観られてよかった、と思った。

何処へ行っても人は人で、完璧な人は一人もいなくて、その歪さを補い合うために、人は人と繋がり合う。
凸凹が激しければ激しいほどに、人の繋がりは深くなるし、自然が厳しいほどに人は優しくなることができる。
そして自然は常に大きく、厳しく、美しく、そこには是非も善悪もない。

アイルランドの人々の優しさが、母娘で過ごした日々が、蘇って心が熱くなった。

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成田に着くと、スーツケースが1個紛失。重量オーバーで中身を減らしたスーツケース。
JALの担当者いわく「ヘルシンキに忘れられたんだと思います。よくあるんです」。
おかげで荷物が一つ減ったね、と娘。
成田から立川までのバスに乗ると鱗雲が空一面に。
「ほら、観て。空が綺麗」とつい大声で言ってしまう。

「知ってる」と娘。

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 鍋焼きうどんを食べて家に戻ると、犬と鳥が待っていた。

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