55歳からのアイルランド留学日記

3ヵ月、ダブリン郊外の語学学校に通いつつ、ケルトの風に吹かれてくるよ〜

ブラーニー城で、ブラーニー・ストーンにキス!

さて、食の都・コークでもとくに有名なのが東コークにあるBallymaloe House。地元の食材をいかした伝統料理と海外のレシピを融合した“モダン・アイリッシュ”は、アイルランドのグルメ・ブームの火付け役になったとか。泊まるのは無理でも(予算的に厳しい)、朝食や昼食を食べることはできないか、問い合わせてみたら、オンシーズンの朝食は宿泊客のみ、昼食は予約でいっぱいとのこと。
カフェは利用できるそうで、行ってみたい気持ちはいっぱいだったけど、コークからバスで1時間、さらに20分歩かなければいけない。荷物を預けるところもなさそうなので、諦めてブラーニー城に行ってみることに。

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ブラーニー城まではバスでいったんシティセンターに出て、そこからまたバスに乗って20分くらい。最初のバスに危うく乗り遅れそうになり、手を挙げて走っていると、なんとバス停でもないところで止まってくれた。バスの運転手さんの親切さにはいつも助けられる。

ブラーニー城は一大観光地、近くにブラーニー・ウルン・ミルズというデパートやホテル、レストランがあり、駐車場には観光バスがたくさん停まっていた。

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雨がひどいのでいったんレストランに入ったら、巨大ホテルのビュッフェみたい。ピザやサンドイッチ、ローストチキンやフィッシュ&チップス、スコーンにドーナツ、ケーキがずらりと並んでいて、やや年齢層高めのお客様でいっぱいだった。
ピザとサラダを注文したら、美味しい。スコーンも魅力的だけど、さすがに大き過ぎて手が出ない……と思ったら、私の前のシルバーヘアの女性は、どちらも綺麗に完食。「歳とってもしっかり食べる人になりたいよね」と娘。確かに、そのほうがカッコいい。

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一服していたら雨も上がり、城の入り口へ。入場券を買うときに、「1時間半待ちだけどいい?」と聞かれる。
ブラーニー城には、その石にキスをすると雄弁になれるという「ブラーニー・ストーン」が頂上付近にあり、それもあって人気を集めているらしい。

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今さら雄弁になる必要もないし、別に上まで登らなくてもいいか、荷物も重いし……と広い敷地を歩き始めた。
最初に円筒形の見張り塔に入ってみると、井戸に落ちた気分。

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敵から身を守るための城は、あちこちにいろいろな仕掛けがあって、ちょっとした迷宮みたいなところにも入れるようになっていたのでチャレンジ。でも、背中のバックパックが邪魔して一歩も進めずあえなく退散。

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そして、本丸。並んでいる人の列を見るとつい習性で並んでしまう。
「本当に並ぶの? 1時間半も? この荷物を背負って?」と娘。
うーん、そうだよねー、やめておこうか……と迷っているうちに後ろにも長い列が。こうなると抜けられない。

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結局、重い荷物を背負ったまま、入り口まで40分、入ってから城内を40分くらいかけて頂上へ。

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途中にここがキッチン、ここが宴会場、ここが寝室、家族室……などの表示があって、当時の暮らしを想像してみる。

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キッチンは随分高い場所にあって、食材を運んだり、洗い物をしたりするのは大変だっただろうなー。それにしても石だらけの城は、どれほど寒かったことだろう。こたつでまったりなんかできなかった当時の暮らしは、王様といえどもそんなにラクではなかったのではないだろうか。それとも、それが当たり前で、そんなこと考えもしなかったのかな。

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頂上の城壁に出た頃には荷物の重さも忘れていた。そして、ついに目の前にはブラーニー・ストーン。
これは城壁に組み込まれた一つの石で、キスをするにはまず仰向けに寝そべって、反っくり返るように頭を90度落とす感じで石にチュッとするというもの。

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寝そべるところと城壁の間には隙間があるからそのままだと落ちてしまう。帽子やメガネは全部外して、支えになる棒を掴んで、さらに係の人にからだを支えてもらう。
とっても妙な姿勢だし、キスもちょっと抵抗はあるけれど、ここまで来たからにはしないわけにはいかない。おもむろに寝そべってチャレンジ。
やってみるとなんだかスッキリ。背負っていたいろいろなものが落ちた爽快感だ。

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頂上から見下ろす景色は「牧歌的」という言葉そのもの。ここに生きるものたちを守るために、見張り番や料理人たちは働いてきたのだろう。
ゆっくり牛たちを眺めていたかったけれど、どんどん人が登ってくるので降りることに。

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広大な庭には“POISON GARDEN”という一角があり、行ってみたらその名の通り、世界各地の毒性を持つ植物がまとめて植えられていた。紫陽花やユーカリもあって「うちの庭にあったじゃん」と若干不安そうな娘。紫陽花の葉やユーカリの新芽には毒があるけれど、たとえばコアラはそのおかげで他の動物と競合せずに生き延びられているんだよ。

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滝のほうまで行きたかったけれど、敷地はどこまで続くのかわからないくらい広大で途中で諦めて引き返す。
カフェで荷物を降ろしたら、どっと肩と足の疲れが襲ってきた。

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3時間ノンストップに備えてソーセージ屋さんでホットドッグとビールを注文、18時30分発のGo Busで一路ダブリンへ。
間違えて一つの手前のヒューストン駅で降りてしまい、ルアス(路面電車)でシティセンターへ行くことになってしまったけれど、リープカード(日本でいうSUICA)のチャージもできたし、閉店直前のラーメン&すしバーでサーモン鮨弁当も買えたし、ま、結果的にはよかったよね、と家路に着く。

 

それにしても、ほとんど人気のない駅で改札を通ってどの電車に乗ればいいんだろう、と彷徨っていたら、駅員さんに呼び止められて「どこ行きたいの? サンディコーヴ? じゃ、コノリーだよ。ここはヒューストン」と言われ、あわてて改札を出たものの、電車代を引かれていたらもったいない、とルアスの駅から引き戻し、ほとんど終業間際の駅員室で「お金返してくれる?」と訴えることができたのは、ブラーニー・ストーンのおかげかも。

雄弁。そっか、英語で雄弁になれたら、夢みたいだ。